【講演録】働くLGBTQ~多様な人々と共生する社会へ~/にじいろほっかいどう 理事長 国見 亮佑 氏
2022年08月15日
「にじいろほっかいどう」という団体ですが、LGBTQの当事者向けの交流会等を開催しています。当事者は孤立しがちで、仲間づくりがとても重要となっていますので、LGBTQへの理解を広げるための市民・学生・教師向けの講演も実施しています。
まずは、「LGBTQってどんな人たちか?」ということを確認しましょう。ひとりひとりが持つ、性別に関するあり方を「性のあり方(セクシュアリティ)」と呼び、4つの見方があります。①生まれた時に割り当てられた性別(戸籍に登録されている性別)。②自分が認識している性別(性自認)。③自分が好きになる性別(性的指向)。④自分がふるまう性別(性表現)。これまで考えられてきた「性のあり方」は、女性は男性と恋愛しますし、「男性」として生まれたら、心も体も男性です。しかし、様々な性のあり方があります。
LGBTQとは、L・G・B・T・Qというそれぞれの「性のあり方」の総称です。「LGB」は、どの性別の人に恋愛感情を持つか「性的指向」のこと、「T」は、自分がどの性別だと認識しているか「性自認」のことです。
Lはレズビアン(女性同性愛者)、Gはゲイ(男性同性愛者)、Bはバイセクシュアル(両性愛者)、Tはトランスジェンダー(割り当てられた性別と違う性別を自認している人)、Qはクエスチョニング(性のあり方がわからない人、あり方を決めない人)です。
ちなみに「性同一性障害」とは、戸籍上の性別を変更したい人で、性別適合手術をしたい人に、医者が付ける診断名のことを言います。
LGBTQの割合は、調査機関・調査方法によってバラつきがありますが、約3~8%と言われています。同性愛は病気ではありません。1990年にWHO(世界保健機関)が、同性愛を治療の対象としないと決定しています。
次に、当事者がどんなことを思いながら暮らしているかをお話します。学生時代に友達との話題の中から自分が「そう」であると気付くことが多いです。自分の気持ちを誰にも言えずに悩みます。LGBTである自分を認められません。当事者は孤独です。自分の性のあり方を受け入れるのに時間がかかり、苦しみます。
LGB(同性・両性愛者)は、同性のパートナーと安心して一緒に暮らすことができる社会だと暮らしやすく、T(トランスジェンダー)は、自分の望む性別で生きていける社会だと暮らしやすいのです。
最後に、働くというテーマでLGBTQについて考えます。多様な人々と共生する社会とはどのような社会でしょうか。LGBTQについて考えると、「性の自己決定権」を尊重する社会です。性のあり方を自分で決める権利は「人権」の問題として尊重されるべきだと考えます。誰もが働きやすい会社になることは、会社にとって有益なことだと私は思います。
(5月27日、とかち支部5月支部例会)
くにみ・りょうすけ=大学卒業後、札幌でゲイ(男性同性愛者)の当事者として活動。2013年からLGBT当事者の交流イベントを立ち上げ、15年に「にじいろほっかいどう」を創設。 |