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【1世紀企業 69】川添農園(旭川市)

2022年07月15日

農業機械の積極的導入で省力化推進

 

食卓に笑顔を届ける 農業で地域を活性化

 

 1916(大正5)年富山県より入植した川添文吉氏は天塩町の昆布農家に住み込みで奉公していましたが、結婚を機に旭川に移住し、21(大正10)年に川添農園を創業しました。当初の作付面積は約5町(5㌶)、高低差が激しく、小さな田圃を連続させざるを得ない部分も多かったそうです。そのため作業の効率化には、冬に土を運び高さを均一化する基盤整備を、人の手で行う必要があったと言います。

 

 初代から2代目(秀夫氏)に引き継がれた時、それまでの作業と言えば人工(にんく)による人海戦術、農耕馬を利用した耕運といった程度だったものを、トラクター、田植え機といった機械化を進めました。また、効率化と同時に面積拡大にも取り組みました。

 

 先代の3代目(和男氏)は、限りある土地、条件でいかに収益を上げるかということも考えていかなければならなかった70(昭和45)年に、国の減反政策を受け、米農家一本から野菜への転作にチャレンジします。現在は米のほか主にトウモロコシやタマネギの栽培をしています。

 

 現在の代表は4代目となる宏明氏。作付面積は28㌶になりました。幼少期から3代目の両親が働く姿を見て仕事を学び、親が元気なうちに跡を継ぐことに決めました。当時の課題は、休みがなく、労働時間が長かったことから、さらなる機械化、効率化を進めることでした。現在では国内最大のコンバイン、2人乗りの田植え機などの機械を積極的に導入し、省力化を進めています。

 

 川添さんは「味がそこそこのものを多く作るより、本当においしいと言ってくれるものを作りたい」と、収量よりも味・品質を優先し消費者への直接販売に注力。今は農協へ卸すだけでなく、自社のECサイトから直接販売も行っています。

 

 近年では、農業を通して社会・地域に貢献することはできないかと考え、障がい者支援施設との農福連携を進めています。「指示の仕方を工夫したり、労働環境を整える必要はありますが、着実に作業をこなしてくれます。人手不足の解消だけではなく、人と人の交流が生まれることで地域活性に繋がればいいですね」と語ります。

 

 「現在農作業にもAIや先進技術が使われています。でも技術が生まれるだけで広がっていかなければ、技術の進歩も止まってしまう。地域だけでなく北海道や農業全体を発展させるためにも自分が貢献できることをやっていきたい」と今後を展望します。

 

 川添農園の経営理念は「食卓に笑顔を届ける」―。作物の向こうに見える笑顔を思い浮かべながら日々作業をしています。