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ポストコロナ~新市場・新事業への挑戦 会員企業の新年度経営戦略

2022年03月15日

危機を乗り越え潜在力発揮

 

 長引くコロナ禍、仕入れ価格高騰、人手不足、そして消費の冷え込み…。道内は依然厳しい経営環境が続いています。そうした中、各社はどんな経営戦略で新年度を迎えようとしているのか。危機を乗り越え、潜在力をさらに磨き、新市場・新分野に果敢に挑戦する6社の実践を紹介します。

 

■滞在型観光の拠点に 大地(幕別町)/建設業

 

林秀康会長

 当社は、観光宿泊施設「十勝まきばの家」(1975年オープン)2006年から池田町より引き継ぎ運営しています。BBQが楽しめる宿泊コテージを7棟備え、21年には自家製ミニトマトをメニューに使ったレストランや、「ワイン樽サウナ」をオープン。さらに9月から、ワイナリーとしては十勝で4番目となる「十勝まきばの家ワイナリー」が稼働しました。こうして、コロナ禍以前は団体客が多かったまきばの家を、国内の個人客を呼び込み、ここでしか体験できない場にしようと体制を整えてきました。

 

 昨年7月には、池田ワイン城で十勝ワインの熟成に25年ほど使われたオーク材大樽を「サウナ樽」として設置。2棟は8000㍑のフランス製、1棟は7000㍑のイタリア製です。ワインの香りいっぱいのサウナを楽しめます。ワイン樽を使ったサウナ施設は国内初です。またワイナリーでは、グループ会社が池田町で栽培しているワイン用ブドウの山幸、清見、清舞、ナイアガラを収穫し、醸造まで自社で完結しています。十勝まきばの家ワイナリーは、泊まって楽しめるワイナリーです。

 

 コロナ禍が終わっても、以前の経済状況には戻らないと考えています。コロナがきっかけとなり、通過型の観光から滞在型の観光へとシフトしています。まきばの家はワインツーリズム・サウナツーリズムの拠点となることを目指しています。

 

 現在は連泊のお客様が増えてきました。今後も宿泊施設の向上や、キャンプサイトの充実など、新たな挑戦を続けていきます。

 

ワイン樽サウナ

 

 

■魅力あるものを創造 レイジックス(札幌市)/飲食業

 

敬禮匡社長

 当社は二条市場、新千歳空港、小樽の堺町通で海鮮丼の店「どんぶり茶屋」を経営しています。インバウンド誘致にも取組み、2019年度には国内外約25万人の旅行者が来店する事業に成長し、海鮮丼専門店では道内1位の売上高を計上しました。

 

 ところが203月の緊急事態宣言発出後は、国内外の観光客の激減で業績は悪化。長引くコロナ禍で観光客の回復も見通せない中、新事業への挑戦が早急に求められました。

 

 事態を打開するため、企業理念の「社員・顧客・地域の幸せに貢献し北海道力の形を創造する」に全社で立ち返りました。以前から、北海道の海産物の魅力を国外道外だけではなく、地域の人にこそ伝えたいと考えており、そこに焦点を絞りました。

 

 着目したのが、ATPという魚が多量に含む成分をうまみ成分であるイノシン酸に変化させて作る「熟成鮨」。この技術で北海道の魚をより美味しくできると考え、社員と共に熟成の技術を学びに九州へ赴き、倉庫もキッチンに改修し、約1年をかけて熟成鮨の開発に取組みました。

 

 また、北海道ではなじみの薄い熟成鮨を道民にこそ味わって欲しく、店舗ではなく宅配としました。こうした苦労の末、121日に「熟成 鮨匡」の名前で熟成鮨の宅配を開始しました。

 

 コロナ禍で改めて社員と共に見つめ直した経営理念。北海道の素材に手を加えることで、より魅力あるものを創造し、更に北海道、地域の人たちを顧客として幸せにできる事業に取組むことができ、社員も前向きに誇りをもって新事業に取組んでいます。

 

熟成鮨