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【速報】仕入単価の急上昇が重くのしかかる/2021年10-12月期景況調査

 中小企業家同友会全国協議会と北海道中小企業家同友会が四半期ごとに実施している景況調査結果(2021年10-12月期)がこのほどまとまりました。全国では2,220社中882社が回答。北海道では769社中220社から回答を得ました。この結果について、北海学園大学経済学部の大貝健二准教授(中小企業論)にコメントを頂きました。(DI値は特に断りのない限り前年同月比、▲はマイナス、①―④は四半期)

 

業況水準もマイナス推移、先は見えない

 

 北海道中小企業家同友会2021年第4期(10-12月)景況調査では、業況判断DI(前年同期比)は、前回調査のマイナス7.9横ばいで推移した。日銀短観や中同協DORの業況判断と比較すると、両者とも今期は改善しており、われわれの調査結果とは動向が異なっている。(下図)

 

 

 調査時点の足元の景況感を問う業況水準を見てみると、前回調査から11.9ポイントの大幅な改善を示したものの、マイナス7.4と水面下での推移となった。コロナ感染拡大期(緊急事態宣言期やまん延防止等措置期間)であるのか、小康状態の時期であるのかによって、回答の仕方が変わってくるように思われるし、コロナ禍における調査の難しさを感じている。次期見通しに関しては、業況判断DI1.9ポイントのやや悪化見通しでマイナス9.8、業況水準に関しては11ポイントの大幅な悪化見通しであり、マイナス18.4となっている。(下図)

 

 

 本レポートを書いている119日時点で、北海道における新型コロナウイルス感染症の1日の新規陽性確認者が1000人を上回り、「まん延防止等措置」の要請が決まった。このことからもまだしばらくはコロナに翻弄されそうな様相を呈している。分かりきっていることではあるが、長期化するコロナ禍をいかに耐えるか、同友会での学び、連帯のあり方が問われているといえよう。

 

 今期の調査結果で、業況判断、業況水準以外の指標で懸念されるものを以下で紹介したい。第1に、仕入単価DIの大幅な上昇である。(下図)19.6ポイントもの上昇幅は、2006年に北海道同友会で調査を開始してから初めてのことである。同様に、「仕入単価の上昇」が大きな課題となっていることがうかがえるのは、「経営上の問題点」での回答からも明らかである。(下図)今期調査では、同項目の回答割合が16ポイント上昇し、「民間需要の停滞」や「従業員の不足」を大きく上回っている。コロナ禍でグローバルサプライチェーンの脆弱さが指摘されているように、ウッドショックやアイアンショックの影響はまだ継続しているほか、慢性的な半導体不足など、原材料や部品の調達をめぐる競争が世界規模で激化している。需要はあるものの資材や部品がないために仕事にならないケースも頻発している。

 

 

 

 

 第2に、その販売単価DIだが、前回調査から6.2ポイント上昇したものの、仕入単価DIの上昇分には及ばず、仕入単価DIと販売単価DIのギャップが急拡大している状況である。(図3)第3に、そのために、例年は第4四半期に大きく改善していた採算の水準DIの改善幅が3.6ポイントと、ごくわずかな改善にとどまっていることである。仕入価格の上昇分を販売価格に転嫁できるのか否かが喫緊の経営課題であるだろう。

 

 最後に、今期の経営上の努力として、自由記述に書かれてあったコメントを挙げておく。「現状維持が精一杯です」(建設業)、「コロナ禍を含む情報過多の要否の判断と、周知の徹底」(建設業)、「来期に向けコスト増による価格設定の準備(値上げ)」(製造業)、「営業活動の従前スタイルの再開」(製造業)、「例年通り雪が降る地域でのより安定した通年雇用の在り方を考える」(流通商業)、「人材確保の為に新卒採用用の企業説明会を独自に開催する予定」(流通商業)、「今後はまず、コロナ対策等で疲弊している職場環境の見直し、強み探しをしていきたい」(サービス業)、「コロナ下で販売力向上に集中 職員の労働時間の適正化」(サービス業)