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【1世紀企業 66】小針土建(中標津町)

2021年11月15日

橋が完成した際の「渡り初め」で使用していた法被

 

技術力磨き地域開発担う 先人が築いた信用は財産

 

 中標津町の小針土建は今年4月、創業100周年を迎えました。

 

開墾、陸上土木から海洋へ

 創業以来、小針土建は地域開発の担い手として重要な地位を占めてきました。福島県から入植した初代社長の小針武雄氏は、中標津町で農地開墾する傍ら土木工事に進出し、1921年に「小針組」を創業しました。戦時中は苦しい経営を強いられたものの、戦後は地域開発が急激に進み経営状態が安定。2代目の義雄氏の時代に株式会社に改組しました。当時は、基幹産業である農業の基盤整備のため「新酪農村建設事業」など大規模な公共工事が次々に行われ、業界の発展と共に会社は成長していきました。

 

 しかし、公共事業の増加と共に企業競争が次第に激化。3代目の弘氏は、多大な設備投資が必要とされる海洋土木に力を傾注する方針を定め、大胆なまでの先行投資に踏み切り、70年代後半にはクレーン船を新造しました。当時は釧路港や花咲港のほか、標津港や尾岱沼漁港、別海漁港などの漁港整備が進められ、又、沿岸漁業振興策として「育てる漁業」が推進された時代でした。漁礁づくりや雑海藻駆除なども活発に行われるようになり、海洋土木は発展性の高い分野とし、弘氏が自ら現場に足を運び将来的な展望を見出しました。

 

経営の多角化へ

 4代目の武志氏は大学を卒業後、準大手のゼネコンを経て小針土建に入社。各ポストを歴任した後、2007年に社長に就任しました。就任時は、開発予算など公共事業が激減する厳しい経営環境でした。そこで、得意分野の優位性を維持しつつ、高速道路や国道維持工事なども受注し、海洋土木とのバランスを図った総合力の向上を目指しました。また、ICTを活用した効率化を進め、従業員の週休2日を実現するなど、働き方改革にも積極的に取り組みました。

 

 「ドローンやレーザースキャナなど3次元技術を活用することで工期を短縮できました。一方で、従業員の基礎技術の習得には手を抜きません。理屈を分かった上でハイテク技術を操る事が重要です」と武志社長は語ります。

 

地域への感謝

 創業以来、技術力と品質向上に力を注いできた小針土建。09年には漁港漁場関係事業優良請負者として、農林水産大臣表彰を受賞。そして今年は、北海道開発局局長表彰の受賞と、工事成績優秀企業の認定を受けました。さらに、地域貢献活動として30年以上行っている「さくらの里事業」では、町内公園にサクラを植樹し、町内の花見スポットとして地域住民の憩いの場となっています。武志社長は「先人が築き上げてきた信用は大きな財産であり、大切に守り続けてゆきたい。経験則と想像力を備え、様々な場面で技術提案ができる企業を目指したい」と抱負を語りました。