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【講演録】チャレンジできる環境づくりを 評価軸で中小企業の魅力をアピール/現場サポート 代表取締役 福留 進一氏

2021年08月15日

 

 当社はIT企業で、主なお客様は建設業です。営業エリアは鹿児島から全国に展開しています。

 

 2010年から新卒採用活動に取り組みました。新卒採用の離職率は8年間で0%、内定辞退率も新卒採用開始以降0%となっていますが、過去を振り返ると反省も多いです。

 

 新卒採用を始めた最初の3年間で入社した4名のうち、3名が退職しています。最初の採用者は5年在籍してくれましたが、ほかの仕事がしたいと言って会社を去りました。私は社員にチャレンジする機会を与えられなかったことを猛烈に反省しました。翌年の採用者は説明会で企業ブースに集まった人が少なく、仕方ないのでこの中で良い人材はと考えて採用していました。その社員は頑張って仕事をしてくれましたが、次第についていけなくなり、退職しました。

 

 私はこの経験で、自社に合わない人を採用してはいけないと気づきました。仕事ができすぎる、できなさすぎるのもいけません。会社と合うかどうかが重要で、人材が欲しくても会社に合わない人を採用すればいずれ辞めてしまいます。また、共育制度もしっかり整え、常に新しい仕事にチャレンジさせる環境が必要とも思いました。

 

 当社は新卒採用活動の際、学生には真っ先に採用基準を伝えています。GS(現場サポート) Policy(経営指針書)に記載していることは、一つ目は「私たちの考え方に共感できる人」、二つ目は「新卒の学歴や成績は参考程度に評価」、三つ目は「資質テスト・能力テストを実施し、GSで活躍できるステージが与えられるかを検討」。四つ目は「GSへの志望度の高い人を優先」で、内定辞退率の低さはここだと思います。第1志望しか採用しないと決め、学生にもこれを見せるので真剣に優先度を考えてくれます。

 

 そして、私は学生に対し、就活する上で評価軸を持ってほしいと伝えています。大きく分けて「自身の成長」「職場環境」「待遇」「仕事内容」の4つです。学生は待遇などに目が行きがちなことに加え、会社側にとっては大企業との差別化を図るチャンスになります。待遇や仕事内容は大企業と比べると厳しいですが、自身の成長や職場環境で中小企業にも勝る点があります。自分たちの土俵で勝負をするため、評価軸をあえて提示するのです。

 

 一方、学生にどのような会社に入社したいかを聞くと、「自らが成長できる会社」という回答が多いのです。しかし、それは具体的にどういうものを指すのでしょうか。私は会社が共育制度を整えるだけでは十分ではないと思います。

 

 私はチャレンジできる環境が最も成長につながると考えます。さらに学習意欲が出る環境も重要です。周りの社員が勉強しない状況の中、自分だけ意欲を保つのは難しいものです。共育制度に加え、これらの環境全てがそろって成長できる環境と言えるのではないでしょうか。

 

 (525日、共同求人委員会企業変革学習会より)

 

 ふくどめ・しんいち=鹿児島県出身。1990年4月、大手メーカーに営業職で入社。2005年8月、独立して現場サポートを設立。鹿児島同友会副代表理事兼総務委員長を務めるほか、福岡同友会博多支部にも所属する。