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【講演録】「夢を叶える~まだまだこんなもんじゃない~」/ロコ・ソラーレ 藤澤五月氏

2021年07月15日

 

 皆さんは夢や目標はお持ちでしょうか?私の目標はカーリングで世界一になることです。

 

 私は両親の影響で5歳からカーリングを始め、その頃からの夢がカーリングでオリンピック選手になることでした。父がコーチ、姉がチームメイトといった環境で大会に出始め、高校を卒業するタイミングでカーリングのために長野県の中部電力に就職しました。2014年のソチ冬季五輪を目指して活動していましたが、13年に日本代表決定戦で敗れ、一から世界を目指そうという決意で15年に地元の北見市に戻り、ロコ・ソラーレに加入しました。

 

平昌冬季五輪での葛藤

 アスリートはメンタルが強いとよく言われますが、私は18年の平昌五輪大会期間中、葛藤していました。

 

 カーリングの予選が始まって中盤の時です。予選で負けが続き、これ以上負けられない状況を迎えます。一方、他の日本選手が立て続けに金メダルを取り、日本選手団はすごく盛り上がっているのに私は落ちこんでいる。この複雑な心境は、精神的に辛いものでした。

 

 そんな状態の時、韓国まで応援に来ていた家族と食事をしました。家族の様子から、私がオリンピックでプレーする姿を楽しんでくれているのだと気づかされるのです。そんな家族の姿を見て私はプレッシャーから解放され、開き直りへとつながります。カーリング仲間やコーチの皆さんにも支えられ、私は3位決定戦で落ち着いてプレーすることができたのです。

 

まだまだこんなもんじゃない

 私は今までに何度も悔しい経験をしてきました。試合に負けるのはもちろん、成績が良くても自分が納得いかない事もあります。しかし、自分が成長させてくれるのもこの悔しさのおかげだと思っています。そんな時、自分に言い聞かせている好きな言葉があります。それが「まだまだこんなもんじゃない」です。平昌五輪後に掲げたチームスローガンです。結果に満足せず決して驕らずに世界一という結果を目指して前に進み続けようという気持ちで決めました。私はこの言葉がすごく好きです。

 

「嫉妬心」が自分を高める

 世界一の目標を目指し、私が大切にしている感情があります。それは「嫉妬心」です。友人など身近な人に対して感情を持った方もいると思います。自分が嫉妬してしまう人は自分の目標に限りなく近い人と言えます。つまり、自分が本当にやりたいこと、欲しいものが何かを気づかせてくれる大切な感情が「嫉妬」です。そんな私にとってのバディ(自分を高めてくれる人)はチームメイトでもある吉田知那美選手です。いつもモチベーションを貰っています。

 

 皆さんもこの感情をきっかけにぜひ目標を立て、前に進んでほしいと思います。

 

 (69日、オホーツク支部女性部たんぽぽの会30周年記念講演より)

 

北見市出身。5歳からカーリングを始め、2015年からロコ・ソラーレに所属し、スキップとして活躍。18年平昌五輪女子カーリング3位決定戦で英国を破り、日本カーリング界初のメダルをもたらした。