2021年 わが社の経営戦略
2021年02月15日
北海道同友会は、コロナの影響で中止となった新年交礼会に替えて、各地で活躍されている会員の実践報告を1月4日から動画配信中です。報告者に共通しているのは新たな市場創造と、そのための変化、そしてコロナ禍でも従業員を守る決意です。報告した10名の2021年経営戦略を紹介します。
※動画配信は、2月28日で終了しました。
共に力を合わせて幸福追求
三ッ星レストランシステム 代表取締役 谷川 富成氏 (くしろ)
当社は、釧路を拠点に帯広、札幌、滋賀県で回転寿司「なごやか亭」、焼肉「ぼくぜん」「牧歌園」、とんかつ「かつ善」を運営しています。今年は「共に~社員と共に、お客様と共に、地域社会と共に~」というテーマの下、7項目の戦略を実行していきます。
具体的には、財政出動で社員の生活を守る。不況を成長の好機に変えるための生産性向上。市場細分化による各事業部のブランディングと差別化。商品の安全性を高める。新しい衛生管理システムの確立。全ての利害関係者の援けあいによる幸福追求。そして財政健全化です。
多額の対策費用はかかりますが、社員の待遇は決して変えません。当初の計画には3年ほど遅れる見込みですが、皆が幸せになれるよう力を合わせて取り組んでいきます。
幹を残し枝葉変えて大刷新
野口観光 代表取締役社長 野口 秀夫氏(西胆振)
今年のテーマは「幹を残し枝葉を変える・大刷新」です。
当社は57年の歴史がありますが、それに安住してはいけないと思います。安心できる会社はあっても、安全な会社はないのです。安心を作るためには「うちの会社は安全だ」と思う気持ちを全社で払拭しなければなりません。時代と共に事業の根幹である幹を残し、枝葉である新たな課題に挑戦し、大刷新してこそ安全な会社となりえます。
新たな取り組みは刹那的なのか、今後も続けるのか、幹と枝葉を見極めるのが経営者の役割です。3年先を見据え足元を固める必要があります。経営者があきらめない限り終わりはありません。今年は「大刷新」する絶好の機会と捉え、2021年はあきらめない一年、よくよく先を見ていく一年にします。
地域経済循環意識し活動に
ソーゴー印刷 代表取締役社長 高原 淳氏(とかち)
2021年のわが社の戦略は、「本業の異質化」です。自社の本業を異なる角度から見直し、商品やサービスの異質化を図ろうと考えています。その方向性は大きく3つ。1つ目は、地域活性プロモーター。情報発信ツールを提供する事業を行ってきましたが、紙媒体に限定せず、電子媒体やイベントをはじめトータルに進めていきます。
2つ目は通販・物販事業の拡充。BtoCの売上を増やすことで、リスク分散を図りたい思いもあります。3つ目はWeb to Print。印刷通販ではなく、「既存顧客の満足度を高める」ことを目的にDX化を目指します。
この3つに関わるのがDXとSDGsです。働きがいも成長も共にめざし、「学び合う育ち合う」社風をつくっていきます。
世界唯一のボイラーを開発
エルコム 代表取締役 相馬 督氏(札幌)
創業30年目となる本年のテーマは「変革」です。昨年はコロナの影響でオンライン化が急速に進み、当社もバーチャル展示会を開催。オンライン化はボーダレス社会を加速させ、中小企業のチャンスは広がりました。当社にとっては世界各地で協力会社を探せますし、メンテナンスもカメラ付きゴーグルでの対応が可能となりました。
当社は世界中で処理に頭を悩ませている廃プラスチックのうち7割を燃料にでき、有害物質やにおいをほとんど出さないボイラーシステムを開発。エネルギー変換効率は70%と、従来の大型焼却炉と比べても3倍近く効率が高くなっています。エネルギーのリサイクルを通して「地球環境と人々の生活の共存」を目指し、世の中に頼られる企業づくりを進めていきます。
社員一丸で困難乗り越える
白老和牛王国上村牧場 代表取締役 上村 篤正氏(苫小牧)
当社は、白老町で和牛の生産・加工販売・レストラン経営をしております。
2020年は、新型コロナウイルス感染症によって全く予想のつかない大嵐の一年となりました。しかし、我々畜産業は、BSE・口蹄疫やユッケ集団食中毒など過去に様々な困難を乗り越えてきた経験があります。
今年の目標は「会社を潰さない!活き残る!」です。昨年、民族共生象徴空間「ウポポイ」近くにファームレストラン「ウエムラ・ビヨンド」がオープン。大切に育てた和牛の命が、お客様に感動や明日への活力を与えます。そして、お客様の大切な記念日や思い出となるように、社員一丸となって寄り添った接客を心がけています。高い品質とサービス向上で地元に応援される企業を目指します。
諦めず危機を克服し成功へ
フレアサービス 代表取締役 西村 達一郎氏(道北あさひかわ)
新年に掲げる一言は、「成功とは諦めない心」です。私は食の提供や障害福祉サービスなど5つのグループ会社を経営しています。食を通して社会に貢献し、働く従業員が幸せになるという思いを掲げ、創業から20年を迎えました。
当社も新型コロナの影響で苦しい経営が続いています。しかし、これまで幾度もの危機が訪れるたび、従業員と知恵を出し合い、事業を見直し、お客様の声を実直に反映した商品やサービスを磨きながら克服してきたからこそ今があります。無駄なことは一つもなく、全てが必要な経験として我々の土台となっています。「諦めなければ全て成功の途中」。この言葉を胸に、困難に打ち克ってまいります。
2021年も皆様と共に、企業経営と同友会活動の両輪で進めてまいります。
コロナ禍、今がスタート地点
マルショウ小西鮮魚店 代表取締役 小西 一人氏(函館)
当社は海産物の卸売を手掛けています。飲食店の顧客が殆どで、自粛や休業要請で大きな影響を受けています。
事態を打開しようと、海産物を詰め合わせた「コロナ勘弁してくださいBOX」を販売したところ、マスコミにも大きく取り上げられました。発送が追い付かなくなるほどの注文を頂き、道産海産物の需要が高いことが分かりました。インターネット販売に対応したシステム構築やWEB部門の強化を図るため、当社は12名の小さな会社ですが、今年は新卒2名を含む4名を採用しました。せっかく入社してもらうなら仕事が面白いと実感できるよう、得意分野を伸ばしていきたいと思います。
私の座右の銘は「今がスタート地点」です。大変な時ですが、楽しむ気持ちを忘れずに邁進していきます。
経営理念に立ち返り前進を
髙橋設備工業 代表取締役 髙橋 健氏(しりべし・小樽)
当社はリフォーム工事や水道・暖房設備工事、灯油の販売などを行っています。創業から42年、私が代表になってから現在9期目を迎えたところです。同友会に入会してからは、様々な経験をさせていただきました。経営指針研究会は3期受講し、試行錯誤の中で「笑顔と感謝」という社是が完成しました。
昨年の夏、コロナの影響で住設機器が入ってこなかったため受注していた物件の施工が延期され、資金繰りにも影響が出ました。そのとき経営理念に立ち返ることで、会えない状況でもお客様の笑顔を想像して社員・協力会社が一丸となって、お客様の要望に応え続ける覚悟ができました。
このような時こそ同友会での学びを活かして、会員同士力を合わせ、前を向いて進んでいきましょう。
新たな発想が価値の創造に
ユニコロン 代表取締役 吉岡 大氏(オホーツク)
今年は、コロナ禍において事業を根本から見直す覚悟で新事業に取り組みます。それは既存の商品を通じ、お客様のコーポレートブランドを確立するお手伝い、デザインでブランディングする事業です。第一弾として、外食産業向けに販売していた鶏卵を宣材として販売を開始。玉子という食材をお客様の希望するデザインの化粧箱に入れ、宣伝広告につなげようと考えたのです。これは新たな企業との繋がりから生まれた発想です。
テレワークを実施して年間休日を125日に増やす見通しも立ちました。「立ち止まるからこそ見える景色」。それを素通りすることなく、まずは現実を受け止め仮説を立て、今できることを実践する。その繰り返しの結果、「新たな価値の創造」へ繋がると確信しています。
大工の育成と設計との融合
武部建設 代表取締役 武部 豊樹氏(南空知)
当社は高い省エネ技術と民家再生を特徴に、住宅を主とした木造建築全般を行っています。現在、国の住宅政策の柱はCO2削減と低炭素社会の実現です。そのためには木の活用と高断熱高気密の技術が重要ですが、ネックとなるのは大工の育成です。大工は80年の93万人をピークに、2015年には37万人に激減。当社は95年から大工育成に取り組み、見習い大工心得、大工育成3ヶ条、社員心得、武部建設職人10ヶ条などを制定し、失敗と学びを繰り返しながら、現在女性2名を含む6名の大工が修行しています。
設計施工では、古民家の再生における木組みの素晴らしさと省エネ技術の融合のように、当社の大工が持つ木造軸組みの高い技術とデザインを生かした設計との融合を目指していきます。