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【講演録】コロナ禍を生き抜く経営戦略/秀岳荘 代表取締役社長 小野 浩二 氏

2020年10月15日

 

LINE活用し損失挽回

 

 当社は、登山とアウトドア用品の販売をしています。札幌市内に北大店、白石店の2店舗と旭川店の3つの実店舗に加え、ヤフー、楽天ならびにアマゾンでネットショップを展開しています。

 

 新型コロナウイルスの感染拡大により、417日に北海道にも緊急事態宣言が拡大され、大型店舗などに対し425日から56日の間、休業要請も出されました。当社では毎年、ゴールデンウイークにバーゲンセールを行っています。セール期間中の1日の売り上げは、白石店だけでも最大で約2500万円になります。休業による売り上げへの影響を考えると本当に恐ろしくなりましたが、休業要請に該当する白石店と北大店は休業し、旭川店は営業時間を短縮することを決断しました。

 

 休業の影響はすぐに、経営に重くのしかかってきました。425日から6日間休業しただけで、4月の売上が前年比48%まで減少。さらに56日までのバーゲン期間中は約2億円の売り上げを失い、現金が枯渇しました。預金を全部かき集め、定期預金も解約することで何とか6月までの支払いの目処をつけ、恐怖の資金繰りを乗り切りました。この間、社員には自宅待機をお願いし、社員の安全を確保しながら営業再開に備えました。

 

 休業要請は、515日まで延長されました。しかし、休業を続けたら当社は存続出来ないと判断し、11日から営業を再開しましたが、5月の売り上げは前年比70%弱という非常に厳しい状況でした。そのため、創業以来、初めて役員報酬と社員のボーナスカットを行いました。また、再び休業しなければならない事態に備え、銀行から充分な資金の借り入れも行いました。

 

 コロナ禍における販売戦略として、2月末に開始したLINEアカウントを活用しました。LINEは全人口の約60%が利用しているので、LINEクーポンによるセールであれば、集客をこれまでの6割程度に抑え、3密を避けながら一定の売り上げを確保出来ると考えました。61日から2週間、10%の割引クーポンを発行しましたが、予想以上のお客様が来店され、6月の売上は前年比160%を達成。昨年6月は創業以来最高の売り上げでしたが、その16倍の売り上げを記録しました。7月も売り上げは前年比127%。2カ月で失った2億円の売り上げのうち、16000万円以上を挽回しました。

 

 白石店は、周辺で渋滞を引き起こす問題を抱えていましたが、この機をチャンスにカベを解体し、入り口の変更と、入場規制を実施。今回のLINEクーポンセールによって、今までとほぼ同様の売り上げを作りながら渋滞問題も解決することが出来ました。

 

 今回あらためて一緒に働く社員とその家族の安全を守ることが第一ということに気づかされました。コロナに罹患させない「安全」と、きちんと給与が支払われることで、生活に不安がない「安心」です。地域で商売をさせてもらっているからこそ「買い手よし、売り手よし、世間よし」の精神で、社員とともにこの難局を乗り越えていきたいと思います。

 

 (824日、札幌支部コロナ禍突破企画第2弾第2回での講演)

 

企業概要=創業1955年。資本金5000万円。社員数72名。事業内容は登山・アウトドア用品の販売・製造。