中小企業憲章制定10周年 守和彦代表理事に聞く
2020年08月15日
2010年6月18日に閣議決定された中小企業憲章は、ことしで制定10周年を迎えました。昨年、国が7月を「中小企業魅力発信月間」と定め、7月20日を「中小企業の日」に制定するなど、中小企業の魅力や存在意義は確実に広がりを見せています。守和彦代表理事に中小企業憲章制定の歩み、中小企業振興基本条例の今後の取り組みについて聞きました。
他団体と連携し条例制定推進を
―憲章制定運動の歩みを教えてください。
03年に福岡市で開催された中小企業家同友会全国協議会総会で、中小企業憲章制定が提起されたことが始まりです。私は分科会に参加しましたが、なぜこれが必要なのか最初はあまり理解できていませんでした。しかし、お手本となるヨーロッパ小企業憲章の前文を〝中小企業〟〝日本〟に置き換えると、中小企業が地域や経済、雇用をけん引する重要な存在だと明記していることが分かりました。
制定に向けては、北海道同友会においても憲章に関する知識や経験といった備えが必要と考えました。そこで、政策委員会が中心となって憲章に関する学びを深めることに加え、会員には自分たちの地域の中小企業振興基本条例づくりに取り組んでもらえるよう呼び掛けました。
自分の地域をあらためて見つめることは、歴史や実情を踏まえて強み・課題を知り、地域における中小企業のあり方、自身の会社や地域づくりをどのように進めたいかを考えることにつながります。そして、行政や金融など他団体、組織にも協力を呼び掛けることで、憲章や中小企業の存在を広く認識・理解してもらうことになるのです。
―道内では条例の制定が着実に進んでいます。
ことし5月までに52市町村で条例が制定されました。北海道同友会では、道内全自治体での制定を目標に掲げています。
最も早く条例を制定した帯広市が、道内の制定運動を大きくけん引してくれました。とかち支部(当時帯広支部)と商工会議所等が連携し、行政に積極的に働きかけた結果、07年4月1日に施行されました。
条例の制定は簡単ではありません。すでに制定した地域でも、その過程で多くの苦労がありました。それでも制定されるということは、首長や担当者が代わっても中小企業施策の連続性が担保できるという点で大切なことです。
条例制定運動に取り組むに当たっては、まずは各地域の他団体としっかり連携することが大切です。そして、協力して各自治体に条例の必要性を訴え、政策に反映してもらうことが必要です。
―ところで、北海道でも新型コロナウイルスの影響が深刻です。
北海道同友会でも、憲章制定10周年を記念したイベントを企画していましたが、感染拡大防止を考慮して残念ながら中止としました。
コロナは憲章や条例自体に何か影響を与えるということはありませんが、条例に基づく施策についてはコロナによって変化するもの、新たに求められることが出てきているはずです。会員の皆さんには各支部で自分の地域を見つめ直し、今後の地域づくりをあらためて考えてほしいと思います。