011-702-3411

営業時間:月~金 9:00~18:00

同友会は、中小企業の繁栄と、そこで働く全ての人の幸せを願い、地域社会の発展のために活動しています。

【1世紀企業 58】藤森商会(帯広市)

2020年07月15日

市民に新たな食文化提供 労働環境改善を常に意識

 

 1899(明治32)年に創業。100有余年の歴史を歩み、現在では老舗レストラン「ふじもり」と、カレー専門店「インデアン」を管内外に12店舗展開し、「帯広に無くてはならない店」となっています。

 

 長野県から渡道した初代の藤森熊作氏は99年、十勝川の渡船場で木材商を営みました。しかし、運悪くその年、十勝川は歴史的な大洪水に見舞われてしまいます。熊作氏は木材の事業を断念し、饅頭の製造販売を始めました。

 

藤森待合所(明治40年頃)

 さらに、熊作氏は1905(明治38)年に開業されることになる帯広駅に強い関心を持ちました。駅構内での待合所経営の許可を申請し、後に所内で飲食物の販売を始めました。当初は乗降客も少なかったものの、07(明治40)年に旭川富良野帯広の十勝線が開通すると利用客は急増。駅前の活気が増す中で熊作氏の事業は急成長を始めます。これが、現在の「ふじもり」の事業のスタートでした。

 

 やがて寿司やその他の献立が充実し、紆余曲折を経ながら、2代目の藤森茂登恵氏の時、30(昭和5)年に「藤森待合所」は「藤森食堂」と改められ、本格的に外食事業へと進出しました。また、56(昭和31)年には有限会社藤森商会として法人化しました。

 

 3代目の藤森照雄氏の時には、事業拡大の新たな展開も求められました。

 

 68(昭和43)年、時代に即した事業として乗り出したのが、カレーショップ「インデアン」1号店のオープンです。帯広が十勝の中心都市として発展し、十勝に新しい文化が次々と押し寄せて来る時代でした。帯広市民に新たな食文化を提供する事業として、帯広及び周辺市民の支持を確実に得るようになりました。

 

 現在は、帯広駅前の老舗レストランとして帯広市民に親しまれる「ふじもり」。78(昭和53)年に3階建てのビルに変わり、グループの中核となっています。

 

藤森裕康社長

 4代目の藤森裕康氏は、2006(平成18)年に代表取締役社長に就任しました。61(昭和36)年生まれの58歳。大学を卒業後、辻調理師専門学校で学び、大阪の日本料理店勤務を経て87(昭和62)年に藤森商会に入社しました。

 

 〝店の基本は人〟と考える藤森社長は、「社員の労働環境の改善を常に意識し追求してきました。スタッフの笑顔がお客様の笑顔を生みます」と語ります。

 

 さらに、これからについては「老舗の暖簾に誇りを持ちつつ、しかし決してその暖簾にあぐらをかくことなく、『ふじもり』や『インデアン』が帯広に無くてはならない店だと一人でも多くのお客様から言っていただけるような企業をめざし、努力を続けていきます」と意気込みを示します。