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経営者の責任とは? 東洋産業代表取締役社長(宮城県同友会)玄地 学氏

2020年05月15日

 

社員と共に経営指針の実践を

 

 私は2005年に同友会に入会し、「経営指針を創る会」に参加して2つのショックを受けました。1つ目は私の作成した理念について修了生から「あなたの理念からは社員の笑顔が見えない」と言われたこと、2つ目は10年ビジョンが描けないことを支部の先輩に相談した際に「つぶれていく会社の姿を見たくないから見えないと言っているだけ」と言われたことです。これまでは3カ年計画ばかりを立てていましたが、10年先を見据えた計画でなければならないと気付きました。

 

 また、経営指針書には必ず社員のページを1ページつけて、自分の経営指針書にしてもらっています。経営指針発表会を社員の成長の場と捉え、社員の表彰やグループ討論を行っています。社員の成長を後押しすることが経営者の責任だと考えています。

 

「問題」を「課題」として

 

 個人ビジョン達成のためにいろいろなことに取り組みましたが、現状認識については社員を巻き込み、企業変革支援プログラムを活用しながら行っています。具体的には「問題」を「課題」に置き換えて解決する主体者として考えることを重視しています。当社では毎年課題をカテゴリー別に分けて、社員に点数をつけてもらいます。すると取り組むべき課題が浮き彫りになり、これを解決するために企業変革支援プログラムを活用しています。

 

 15年に社長の決意として働く環境づくりに取り組むと宣言し、毎年就業規則の見直しと改定をしています。改定に当たっては就業規則改定月間を定め、社員から要望を聞き一緒に取り組んでいます。評価制度を導入して4年目になります。

 

 また、価格決定権を持てるメーカーを目指してきました。同友会で「新しい仕事づくりは地域の困った探しから」と聞き、強みを生かした自社ブランド洗剤を完成させました。

 

強靱な会社は社員と共につくる

 

 私が経営指針を実践してから、3年目に売り上げが下がる時期がありました。ある時同友会の例会で「経営指針」だけではなく、「就業規則」「社員教育」「評価制度」を合わせた4つの柱に取り組むことの重要性を学びました。現在はこの柱を軸に、社員と思いを共有しながら強靱な会社づくりに取り組んでいます。

 

 全国的な経営指針の実践状況を見ると、まだ社員の位置付けが不明確に感じます。社員を最も信頼できるパートナーとするために、経営者がすべきことを考えなければなりません。そのためにも経営者だけが勉強するのではなく、社員も一緒に勉強し共感を得ること、全社一丸の経営指針の実践、社員と共に夢を語ることが同友会で学ぶことだと思います。

 

 こうして私の個人ビジョンは、最終的に人を生かす経営にたどり着きました。「経営者の責任の自覚」「経営指針の成文化と全社的実践」「社員を最も信頼できるパートナーと考える」「外部環境の改善に労使が力を合わせる」、これが私にとっての個人ビジョンだと捉えています。

 

227日、函館支部青経未来塾2月例会にて)

 

企業情報=創業1985年、資本金1800万円、社員数12人(役員、パート含む)。事業内容=清掃用品等の販売、コンサルティング業など。