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【速報】「新型コロナ大不況」突入 企業存続危機、同友会の連帯で活路を/2020年1-3月期景況調査

2020年05月15日

 中小企業家同友会全国協議会と北海道中小企業家同友会が四半期ごとに実施している景況調査(2020年1―3月期)結果がこのほどまとまりました。全国では2345社中930社が回答。北海道では810社中243社から回答を得ました。この結果について、北海学園大学経済学部の大貝健二准教授(中小企業論)にコメントを頂きました。(DI値は特に断りのない限り前年同月比、▲はマイナス、①―④は四半期)

 


 

 4カ月前に一体誰がこのような事態を想像できただろうか。北海道中小企業家同友会20年第1期(13月)景況調査における業況判断DI(前年同期比)は、マイナス7・9からマイナス29・6へ、21・7㌽の大幅な悪化を示した。日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)においても、全国・全産業では5期連続の悪化となり、また北海道調査分では、前回調査から15㌽もの大幅な悪化となっている(図1)。米中貿易摩擦や韓国からのインバウンド観光客の低迷に加え、19年10月の消費増税で景況感の後退がより鮮明になってきたところに、新型コロナ大不況とでもいうべき事態に突入した。

 

 

まだ入り口、次期も大幅悪化見通し

 

 今期の調査結果として鮮明なことは、次の2点である。第1に、業況判断DI、業況水準DIはじめ、売上高DI、採算DI、採算の水準DIなど主要な景況感の判断項目が軒並み10㌽以上の「大幅な悪化」を示していることである(図2)。第2に、これら主要項目の次期見通しでも軒並み10㌽以上の「大幅な悪化」となっており、今期の景況感の大幅な後退は、まだ入り口に過ぎないことを示唆している。リーマンショックを上回る経済危機が訪れることを想定しておいた方がよいだろう。

 

 

 業況判断DIを業種別に見ると、全業種で悪化した。特に流通商業では37・4㌽の大幅な悪化(マイナス1・3↓マイナス38・7)、サービス業でも28・6㌽の大幅な悪化(2・4↓マイナス26・2)と、これら2つのカテゴリーに属する業種での悪化が顕著である。しかし、次期見通しでは、建設業、製造業でも大幅な悪化見通しとなっており、全業種でマイナス30以下に落ち込む事態となっている(図3)。

 

 

 「経営上の努力」コメントを見ると、「建設業にもコロナウイルスの影響があり、中国から資材供給が部品として多く、住宅設備器具関係で他社への抜替によるコストアップや在庫欠品による高騰がさらに原価を上げています。また、他業種の売り上げ減やその影響も考えられて、消費動向と世界の投資動向によっては大きな影響が考えられる。企業として危機管理を一つに絞り守っていくしかないように思う」「新型コロナウイルスの感染拡大により、3月の卒業式が中止・縮少になり、着物はかまレンタルがキャンセルになり、その対応(現金による返済)に苦慮している」など、コロナウイルスとともに、厳しい情勢を示す文言が並んでいることも今期調査の特徴である(図4)。

 

 

 新型コロナ大不況は、目に見えないウイルスとの戦いでもある。すでに明らかになっているように、3密を避けることはもちろん、人の命を守ることが何よりも重要である。

 

 しかし、自粛要請により仕事もお金も回らない事態が起こっている。長期戦になればなるほど、企業の存続が危ぶまれることになる。中小企業を1社もつぶさない覚悟で、この危機にいかにして立ち向かうのか。国へ政策的支援を求めることは当然必要であるが、自社の得意分野を絞り込むこと、自社の強みを基に新たな事業を展開すること、そして、同友会の連帯を基に、お互いを支え合う仕組みをつくり出していくことが求められるだろう。