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【講演録】論語と算盤 未来を拓く(コモンズ投信取締役会長 渋澤 健氏)

2020年02月15日

 

渋澤 健 氏

プロフィール=2001年にシブサワ・アンド・カンパニー、07年にコモンズ(現・コモンズ投信)を創業。日本における資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一は高祖父に当たる

 

相反するものつなげて価値創造

 

「と」の力

 

 日本の資本主義の父と呼ばれた渋沢栄一は、1916年に「論語と算盤」を著し、道徳経済合一説を打ち出しました。「正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができない。従って、論語と算盤という懸け離れたものを一致させる事が今日のきわめて大切な務である」。

 

 論語と算盤で一番重要な言葉は「と」の力です。「か」の力は「or」の関係です。0か1か、比べて進めることができるので、効率性を高め、組織運営には不可欠な力です。

 

 しかし、「か」の力だけだと、既に存在しているものを比較しているだけです。つまり、「か」の力だけだと新しい創造がありません。

 

 論語と算盤の両立は、現代の言葉に置きかえてみると〝サステナビリティ〟すなわち持続可能性です。論語(道徳)だけを訴えていても持続性が乏しくなります。一方で、算盤(経済)勘定だけを見ていては創造性が生まれません。一見矛盾するものを「と」の力で一致させる事が大切です。

 

 これを経営者に当てはめてみますと、現在と未来という相反するものをつなげて価値を創造しなければなりません。つまり、経営者には一見矛盾するものを「と」の力で合わせる資質が重要と言えます。

 

 

破壊と繁栄

 

 渋沢栄一の思想から、日本の未来についてお話させていただきたいと思います。

 

 未来は一直線で到来するのではなく、歴史はそのまま繰り返されることはないが、破壊と繁栄の周期性があると言えます。1990年はバブル景気のピークでしたが、その後崩壊に向かいます。6090年は日本が高度経済成長の時代に恵まれました。Japan as NO.1と言われ、「繁栄の30年」と言えると思います。3060年は、「戦争」で破壊をもたらしました。

 

 さらに1900―30年には日露戦争がありました。当時後進国だった日本が先進国に追いついていったという時代です。さらに30年をさかのぼると明治維新の時代です。江戸時代の常識が破壊され、近代経済社会を形成していく基盤づくりが始まった時期でした。

 

これからの日本が未来を拓く

 

 この周期性が今も続いているとすれば、バブル崩壊などの破壊期を経て、実は2020年から繁栄の時代が始まるはずなのです。

 

 20年以降は団塊ジュニアの世代が最も人口の多い層で、社会の主役の世代交代が起こります。この世代は過去の成功体験を持っていない分、新しいものを生み出す可能性を秘めています。彼らは生まれた時からインターネットがあり、世界の人とグローバルにつながり、若い人たちの価値観や感性に、新しい繁栄の可能性を持っています。

 

 「今日よりも、良い明日へ」という考えの下、私たちが世代を超えた投資ができれば日本の未来が見えてくるのではないでしょうか。

 

 (1月21日、オホーツク支部新春講演会にて)