気流
2020年01月15日
昨年12月にスペインのマドリードで開催された「国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)」は、温暖化対策の強化を各国に促すことを盛り込んだ成果文書の採択にとどまり、パリ協定の実施ルール作りの合意は断念しました。会期中、「気候行動ネットワーク」が温暖化対策に消極的な国に贈る「化石賞」を日本が受賞しました。石炭を推進する政策の転換を示せなかったからです。
一方で、旭化成の吉野彰名誉フェローが2019年のノーベル化学賞を受賞しました。開発に携わったリチウムイオン電池の研究が評価されました。リチウムイオン電池は他の電池に比べエネルギー密度が高いため、小型で軽量のバッテリーを作ることができ、主にスマートフォンやパソコンのバッテリーとして使用されています。電気自動車や太陽電池、再生可能エネルギーの蓄電などにも活用されており、化石燃料の消費からの脱却も期待されます。
SDGs(持続可能な開発目標)に代表されるように、世界的に大量生産大量消費大量廃棄型経済社会を打開することが求められています。日本人が大切にしてきた「良いものを大切に長く使う」という価値観が見直されています。
技術の進歩にも限界があります。持続可能な社会の実現にとって最も重要なのは、われわれ一人一人の意識と小さな行動ではないでしょうか。地域経済を担い、地域を守る中小企業の役割がますます大きくなっています。