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【4-6月期景況調査】水面下2期連続改善 全国の動向とは対照的に

建設とサービスがけん引、製造が悪化

 

 中小企業家同友会全国協議会と北海道中小企業家同友会が四半期ごとに実施している景況調査結果(2019年4―6月期)がこのほどまとまりました。全国では2380社中942社が回答。うち北海道では821社中275社から回答を得ました。この結果について、北海学園大学経済学部の大貝健二准教授(中小企業論)にコメントを頂きました。(DI値は特に断りのない限り前年同月比、▲はマイナス、①―④は四半期)

 


 

 北海道中小企業家同友会の19年第2期(4―6月)景況調査における業況判断DI(前年同期比)は、前回調査のマイナス4・7から2・1ポイントのやや改善を示し、マイナス2・6へと推移した(図1)。17年第4期(1012月期)から依然として水面下での推移ではあるが、2期連続の改善である。次期もやや改善の見通しであるが、その力は強くはない。他方で、日銀短観(全産業)や中同協DOR(速報)を見ると、米中の貿易摩擦や海外経済の減速の影響も受けながら、景況感の改善に急ブレーキがかかっており、次期以降の見通しはかなり厳しいものとなっている。北海道DORとは対照的な動きを示しており、今後の動向に注意が必要である。

 

 

 業種別にみると、今期の景況感の改善をけん引したのは建設業とサービス業である(図2)。建設業は10・1ポイントの大幅な改善を示し、マイナス8・5から1・6へと水面上へ浮上した。サービス業は4・1ポイントと改善幅は大きくないが、16・7から20・8への推移が示すように大幅プラスでの推移である。

 

 

 他方で、今期大幅に悪化したのは製造業である。製造業は、16年第2期から19年第1期まで12期連続で水面下推移であり、前期水面上への浮上をうかがう改善を示していた。しかし、今期は15・6ポイントの大幅な悪化となった。また、足下の景況感を示す業況水準では、建設業とサービス業がプラス11・3、14・6と高水準を示しているが、前期からは改善を示しているものの製造業でマイナス15・4、流通・商業でマイナス10・0と業種間のギャップが大きい。

 

 本調査において、景況感の改善とともに好転している指標をいくつか取り上げると、その1つが、販売単価DIの上昇である(図3)。とはいえ、仕入単価DIが販売単価DIの改善幅を上回って上昇し、両指標のギャップはやや拡大している。第2に、1人当たり売上高DIと1人当たり付加価値DIの両指標が1年ぶりにともに改善を示している(図4)。両指標が改善した年第2期も景況感は水面下ながら改善していることから、これらの動きを景況感が改善した要因として考えることもできるだろう。

 

 

 

 次に、今回調査から本格的に導入した4地域別〈道央(札幌・後志)・道東(十勝・釧路)・道南(函館・日胆)・道北(旭川・北見)〉の結果についても簡単に紹介しておこう。業況判断DIは道東で大幅に改善した一方で、道央・道北で悪化、道南で大幅な悪化となっている。道東のとりわけ釧路で景況感が大幅に改善し、道南で大幅に悪化した地域的要因は何か、さらに詳細な検討が必要であろう。

 

 今期における経営上の問題点では、「人件費の増加」が44・0%で最も割合が高くなっている。「従業員の不足」は39・5%と、前回調査から割合が低下したとはいえ、依然として上位3項目には入っている。「とにかく人手不足なので人材確保のことばかり考えている」(流通・商業)といったコメントが散見される。

 

 また、人材確保に加え、「就労環境改善のため、社内のレイアウト変更を実施。オープンで風通しの良い社内構築を目指す。今後は各社員の生産性を向上させるため、人事評価システムを強化する」(サービス業)というように、「働き方改革」への対応の動きも見られる。今後も中小企業経営によっては荒波が続く情勢になる可能性が高いが、同友会というプラットフォームを活かし、荒波を乗り越えていく戦略が求められている。

 

北海学園大学 経済学部 准教授 大貝 健二