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【1世紀企業 51】美容室桜井(札幌市)

2019年07月15日

技術で女性の心つかむ 社員と共に成長していく

 

 4代にわたって通い続けるお客様もいるなど、長年築かれた信頼に応え続けてきた美容室桜井。2018年に創業100周年を迎えました。ヘッドスパやエステなど総合美容を展開する確かな技術に加え、お客様の体調に合わせたハーブティーを提供するといった、丁寧できめ細かな接客も喜ばれています。

 

婚礼衣装の支度をする創業者の桜井かねを氏(左)

 同社は、桜井かねを氏が1918(大正7)年に、「桜井美粧院」として創業。現在の中央店の真向かいに位置する、南2条東1丁目に店を構えました。当時は周辺に商業や工場などが立地していて、商家の主婦を中心とした日本髪結いのほか、婚礼衣装の着付けなどを手掛けていました。

 

 かねを氏は「お客様第一」が口癖で、新製品を積極的に取り入れるなど技術の向上に熱心でした。戦後の昭和期、パーマの主流は電熱器を用いる“電気パーマ”でしたが、かねを氏は現在の主流である“コールドパーマ”を札幌で初めて導入します。電気パーマと比べて髪の傷みが少なく、常に新たなおしゃれを求める女性の心をつかみ、店には長い行列ができたそうです。

 

 55(昭和30)年ごろに2代目を継いだ照子氏は、創業者が大切にしていた技術の向上に加え、人材の育成にも力を注ぎます。当然、美容室として一定以上の技術は必要ですが、さらに他店との差をつけるには接客につながる“人づくり”が重要と考えました。講師を招いた研修会を三十数年間毎月開催し、この中で社会人としての基本や人間としての資質を高める学びを繰り返し行い、接客の向上に生かしました。

 

 99(平成11)年に3代目社長に就任した三沢龍子氏は、現在会長を務めています。三沢氏の入社当時、まだ美容室は徒弟制度の名残が強かった時代ですが、自身の銀行勤務経験を生かし、従業員の処遇を一般企業の水準にまで整えました。

 

 さらに、留学生や子どもたちへのボランティアを発案し、いずれも30年以上続いています。高校生以下のちびっ子チャリティーカットでは、支払った代金が札幌市の社会福祉協議会に寄付されることを知ってもらい、幼い頃から福祉について考えるきっかけになればと、地域における人づくりにも貢献しています。

 

桜井はるみ代表取締役

 伝統のバトンは現在、4代目となる代表取締役のはるみ氏が引き継ぎました。「常にお客様のニーズにお応えできるよう学び続け、社員を大切に、共に成長していきたい」。流行の変化が早い美容業界だからこそ、先代が大切にしてきた技術や人づくりの精神を守り続けます。