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景況感2期連続で悪化 同友会2018年10-12月期景況調査結果

2019年02月15日

米中の貿易摩擦や中国経済減速など 次期も楽観視できず 

仕入れ単価の上昇懸念、震災の影響も

 

中小企業家同友会全国協議会と北海道中小企業家同友会が四半期ごとに実施している景況調査結果(2018年10―12月期)がこのほどまとまりました。全国では2393社中896社が回答。うち北海道では836社中253社から回答を得ました。この結果について、北海学園大学経済学部の大貝健二准教授(中小企業論)にコメントを頂きました。(DI値は特に断りのない限り前年同月比、▲はマイナス、①―④は四半期)

 


 

 北海道中小企業家同友会18年第4期(10―12月)の業況判断DI(前年同期比)は、前回調査のマイナス6・3から4・1㌽のやや悪化を示し、マイナス10・4となった。業況判断DIは、2期連続の悪化である。前回調査では、今期は改善を示す見通しであったが、そのような結果にはならなかった。また、次期見通しは、微弱ながらも全業種で改善する見通しとなっている。

 

 しかし、業況判断DIの推移を日銀短観や中同協DORと比較すると、次のことが明らかになる(図1)。

 

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 中同協DORでは、景況感は改善するも、次期見通しはほぼ横ばいである。また、日銀短観(全国・全産業)では、1㌽の改善を示したが、次期は6㌽の悪化見通し、札幌支店による北海道調査では、今期は3㌽の悪化、さらに次期は8㌽の悪化見通しとなっている。これらのことから、北海道の景気動向は、決して楽観視できる状況ではない。

 

 

 

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また、昨年9月に発生した北海道胆振東部地震の影響についてであるが、業種別業況判断DI(図2)において、サービス業の景況感が大幅に悪化していることが、その一端と捉えることができる。しかし、過去の傾向では第3期から第4期、あるいは第4期から第1期にかけて同指標が悪化していることから、本調査で断定することは難しい。もちろん、次のコメントのように各所で影響が出ていること、影響を受けた各社が努力されていることは承知している。

 

 ■「北海道は9月6日に震災があり、その挽回のため、日夜、新たな対策を具体的に実施しています」(流通商業)

 

 ■「災害の影響か、安心安全、実用志向がさらに高まり、本格的な冬が来ていないにもかかわらず、機能性の高い商品が早くから売れている」(流通商業)

 

 ■「9月6日に発生した北海道胆振東部地震のブラックアウト(停電)により、3日間営業と生産ができなくなった分、ご迷惑をお掛けした。顧客先と患者さんの信頼回復の為に、あらゆる努力を試みて、信頼回復に努めたことで、売上も無事V字回復することができた」(サービス業)

 

 次期以降の景気動向について、楽観視できない要因についても触れておこう。第1に、世界情勢をめぐっては、米中貿易摩擦や中国経済の減速、さらには英国のEU離脱問題などの不安要因が日本経済を押し下げる可能性があり得る。

 

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 第2に、「仕入単価の上昇」が懸念される状況が生まれてきていることである(図3)。仕入単価DIの上昇により、仕入単価DIと販売単価DIのギャップが拡大し続けていることに加え、経営上の課題としても、回答割合を大幅に上昇させるなど問題視する見方が高まっている。

 

 第3に、継続する人手不足である。前回調査において60%を上回った不足感が今期も継続している。第4に、資金繰りの状況において、20人未満規模層での「窮屈感」が高まりつつある。資金繰りが悪化するのは第2期から第3期にかけて散見されており、動向が異なる。今後も注視する必要があるだろう。