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気流

2018年05月15日

 タクト一つで、ステージ上の100人近い演奏家集団を自在に操る指揮者は憧れの職業でした。

 

 トスカニーニ、ベーム、ワルター、カラヤン、ショルティーなど往年のクラシックファンには懐かしい顔触れです。現在でも人気の高いフルトベングラーは、名指揮者として名を残していますが、演奏者にとって分かりにくい指揮をするため「振ると面喰う」というやや不名誉なニックネームはご愛敬でしょうか。

 

 指揮者は、演奏会当日タクトを振るだけと思いきや、これが中々骨の折れる仕事のようです。作曲者が楽曲に込めた楽想を、最高音のピッコロから最低音のコントラバス、打楽器の楽譜が列記されたフルスコア(全パートを網羅した楽譜)から、音符一つ一つを読み解いていきます。音の強弱、テンポ、ハーモニーのバランスなど自分の解釈を加えながら作り上げていくのです。

 

 また、指揮者は自身の音楽表現を最大限追求するため、演奏するオーケストラのレベルアップを図るトレーナーや音楽監督を兼ねる場合があります。こうした点から企業経営者は、指揮者に似ているともいわれます。

 

 両者の根本的な相違点は、企業経営にはフルスコアがないことです。フルスコアに代わり、経営姿勢の確立や自社の進むべき方向を明確に示すのが「経営指針」ではないでしょうか。社員のモチベーションを高め、その個性を引き出し指揮者と共に壮麗なシンフォニーを地域に響かせてほしいものです。