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【1世紀企業 43】太田寝装(帯広市)

2018年04月15日

守り続ける「中綿の教え」 布団製造から経営多角化へ

 

 帯広市内で寝具専門店を営む太田寝装は、ことしで創業100周年を迎えます。創業当初は布団の仕立てが中心でしたが、現在では寝具の販売から病院や福祉施設のリネンサプライ、警備業など時代のニーズに合わせた事業展開を図っています。取り扱う事業は変わっていっても、代々引き継いできた「中綿の教え」はしっかりと守り、お客様との信頼関係を築き上げてきました。

 

 同社は、岩手県出身の太田親作氏が1918(大正7)年に「太田ふとん店」として創業。現在の本社所在地(帯広市大通南7丁目17)に店を構えました。日本で専門店が布団の製造を手掛けるようになるのは明治時代に入ってから。同社でも別の場所に工場を設け、布団の仕立てや打ち直しをしていました。

 

 「中綿の教え」が生まれるのは2代目社長の智雄氏の時代です。ほかの布団屋で布団に粗悪な綿を入れているのではという風評が立った際に、智雄氏は「布団は綿が命。その中に入っている綿は外側からは見ることができない。だからこそ見えない中綿の品質を大切にしなさい」と、社員に呼び掛けました。この教えは現在に至るまで守り続けています。

 

 昭和40年代に入ると、ウレタンやポリエステル、羽毛などを使った大手メーカーの製品が普及します。同社は時代の変化を受け止め、85(昭和60)年に製造を中止し販売に特化することを決めました。

 

 その後、97(平成9)年に北海道拓殖銀行が破綻し、その余波を受け経営環境が厳しくなる中、さらなる多角化を決断します。99(平成11)年、当時の規制緩和により新規参入ができたリネンサプライ業に参入。市内の病院や福祉施設を中心に取引しています。そうこうするうちに受注先の病院からの依頼で施設内の清掃や警備を請け負うようになり、さらには病院での業務のノウハウを生かして駐車場業まで携わるようになりました

 

 4代目の太田隆博社長は、幅広い事業展開は思い付きではなく、仕事で知り合った方々とのつながりの中から生まれたと指摘。「『布団屋だからそれ以外はやらない』のではなくて、柔軟な考えでできることはやる。このことが会社を存続させるために必要だと思う」と話しています。

 

 ことしはクリーニング工場を所有し、リネンサプライ業で今まで外注していたクリーニングを自前でできるようにする予定です。太田社長はこれからも経営を安定させながら「いずれ息子に5代目としてバトンタッチするのが大きな仕事」と思い描いています。