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【1世紀企業】山三ふじや(千歳市)

2018年03月15日

雑貨店から多方面に展開

千歳飛行場建設にも尽力

 

 酒類卸や新千歳空港内のお土産店を軸に、多方面に事業展開する山三ふじや。時代のニーズに常に照準を合わせ、今ではタクシー会社、ゴルフ場、自動車学校などを擁する企業グループに成長しています。113年に及ぶ同社の道のりは、一人の若者が本道に商機を見いだしたことに始まります。

 

 創業者の渡部榮藏氏は新潟県佐渡の出身。生活用品を扱う地元の商店に勤める中で徐々に頭角を現し、一旗揚げようと開発が進む北海道に移り住むことを決意します。1905(明治38)年、19歳で千歳に「山三ふじや渡部商店」を開店します。

 

 味噌やしょうゆ、塩、酒、衣類、燃料と生活必需品全般を扱う店で、開店当初から地域の人々に重宝され、順調な滑り出しを見せます。翌年には木材部門を発足し、江別にあった製紙工場に木材を供給。太平洋戦争が終結してからは、現在の主要事業となっている酒類、食料品類の卸部門をはじめ、エネルギー関連事業、タクシー事業へとフィールドを広げていきます。

 

 千歳は空港とともに発展してきたまちですが、榮藏氏はその礎を築いた人物でもあります。26(大正15)年、当時は村だった千歳の村民に呼び掛けて一本の着陸場を造り、千歳に初めての飛行機を迎えました。その後の飛行場建設にも尽力していきます。

 

 時代が求めるものをとらえ、さまざまな商品やサービスを提供してきた同社ですが、バブル経済崩壊後の景気の冷え込みには苦しみました。そうした中、2004(平成16)年に社長就任した瀧澤順久氏は「自然とモノが売れる時代ではない。会社として一新しなければ勝ち残れない」と従業員に説き、この十数年、時代の波に左右されない足腰の強い会社づくりを進めてきました。この姿勢は会社全体に浸透し、売り上げが向上した部署が多々あります。数年前からは他社と連携し、小麦栽培という新たな分野にもチャレンジしています。

 

 昨今は「いかに幸せに働けるか」が焦点となっています。次期社長として期待されている、渡部順大常務は「良い会社と言われる会社の社員からは、仕事の充実感がにじみ出ている」とし、「この会社に人生を費やして良かったと思ってもらえる会社になるよう、尽くしていきたい。そうした土台があることでいろいろなアイデアが生まれ、会社の発展にもつながっていく」と意気込んでいます。