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25年度新入社員意識調査 人間関係、自己成長、社会的意義に敏感

2025年05月15日

教育理念、育成計画で定着を

 この調査は、北海道同友会が各地で今春開催した合同入社式と新入社員研修会(札幌、とかち、くしろ、道北あさひかわ、函館、オホーツク)の参加者を対象に行いました。回答数は280件で昨年より6・9%減少しています(図1)。全体として採用状況の厳しさが伺えます。


■会社選びの基準

 昨年と上位が入れ替わり、「仕事の内容」(24・2%)よりも「職場の雰囲気」(26・9%)が最も多くなりました。「給料、ボーナス、昇給」(5・1%)や「福利厚生」(4・8%)よりも、職場の人間関係や仕事のやりがいを重視しており、定着にも直結していることを示しています。「経営理念」(12・6%)や「勤務時間・休日・休暇」(12%)への関心も比較的高く、理念への共感やライフスタイルとの整合性が、職場への安心感や継続意欲につながっていると考えられます。(図2)


■働く目的

 「収入を得て趣味などを楽しむため」(43%)と「創造的に仕事をして、自分の人間的成長をはかるため」(29%)が上位を占めました。これは、仕事そのものが人生を豊かにさせ、自己成長の舞台であると捉える傾向を示しているといえます。ここ数年「創造的に仕事をして、自分の人間的成長をはかるため」が大きく低下し、「収入を得て趣味などを楽しむため」との差が広がっているのが気がかりです。業務の意味や社会的役割を理解してもらい、自己成長を実感出来るようフォローするなど、仕事の満足度向上と離職防止の努力が求められているようです。(図3、図4)


■自信が持てること(複数回答)

 今回も、「協調性」「忍耐力」には自信がある一方で、「積極性」「創造力」「体力」への自信の乏しさが目立ちます。これは、若者が受動的な姿勢から抜け出せず、不安や戸惑いを抱えながら社会生活を始めていることを意味しています。上司や先輩社員による適切なサポートや、試行錯誤を重ねながら仕事を覚え、安心して成長できる職場の環境づくりが定着につながります。(図5)


■関心のある社会問題(複数回答)

 昨年は6位だった「経済問題」がトップとなり、「人口問題」「社会福祉」などが今年も上位となりました。若手社員は、個人の生活だけではなく社会問題へ高い関心を持っていることが分かります。各社の事業活動や地域の取り組みが社会貢献につながっていることを明確に伝えることも、長期的な共感と定着を促す鍵となります。(図6)


 この調査から若手人材が「人間関係・自己成長・社会的意義」の3要素に敏感であることが分かります。これらを踏まえ、職場における信頼関係づくりや、成長支援、理念共有を中核に据えた教育計画づくりが定着につながると言えるでしょう。