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しりべし・小樽支部7月例会 宮﨑本店 宮﨑会長が講演

2018年08月15日

ブランディング戦略の手法語る

 

 しりべし・小樽支部は7月18日、倶知安町内で7月例会を開催し、「キンミヤ焼酎」などを製造・販売する、宮﨑本店(本社・三重県四日市市)の宮﨑由至会長(中同協顧問)が講演。創業172年の歴史と伝統を磨き続け、積み重ねてきたブランディング戦略を語りました。

 

 

■時代理解し、戦略転換

 

 日本も労働力が安い国となり、AIの台頭で価値観が覆され、EVは自動車の産業構造を変えるでしょう。どんな時代になっているのか、常に理解していないと仕事が見えてきません。

 

 当社では数年前まで2・7㍑、4㍑という大型容器で焼酎を売っていましたが、売るたびに赤字。また、これらの商品は主に居酒屋向けに販売していましたが、大きく、重いのでお客さんのテーブルにのせられません。商品を見てもらえないのでブランドが表に出てこないのです。

 

 そこで、大型容器の販売をやめ、600、300、200、ついには90㍉㍑入りと小型でテーブルにのせることができ、「キンミヤ焼酎」というブランドを見てもらえる商品構成に切り替えました。総リッター数では3%ほどのシェアしかありませんが、商品によっては40%、60%を超えるシェアがあるのは、こうした戦略をとったからです。

 

 戦略と戦術は混同されがちですが、戦略は組織のトップが考え、戦術は戦略に基づき、フィールドがやる仕事です。これをごちゃ混ぜにすると会社は回りません。

 

■中小企業のブランディング

 

 中小企業がブランディングする時、客層を狭く、値段は高く、説明は熱く、という3つのキーワードがあると思います。客層が広いと深くならず、絞れば絞るほど顧客満足度は上がります。

 

 焼酎を凍らせ、シャーベット状にした「シャリキン」という商品を出しています。90㍉㍑入りで1個100円。周りからはそんなに安い商品を出して大丈夫かと心配されましたが、1ケース30個入りなので、2・7㍑で3000円。4㍑入り焼酎を1500円で売っていたわけですから、高い商品です。品切れが続き、シェアは100%です。

 

 この商品、簡単そうに見えますが開発に3年かかりました。東京の有名なモツ焼き屋さんが、当社の焼酎を凍らせ、炭酸で割ってお客さんに出していたのがヒント。しかし、家庭用の冷蔵庫は業務用ほど温度が下がらず、焼酎がうまく凍りません。また、パウチパックに入れているため、アルコールでパックが溶け出す可能性があり、安全性を確認するのに時間がかかりました。

 

 キンミヤの名前が認知されるにつれ、この焼酎をずっと飲んできたという芸能人がテレビなどで熱く語ってくれるようになりました。コアなファンがいるほど強いものはありません。

 

■手綱を締める勇気

 

 キンミヤは東京の下町からじわじわと売れていったのですが、ある時、大手出版社から売れている秘密を本にしないかとオファーがありました。

 

 とてもうれしく引き受けようと思い、当時、専務だった息子に話すと、たしなめられました。本に載ることで瞬間的にとても売れるかもしれないが、本になってしまったのかとコアな客は離れていくと。ショックでした。あれは分岐点。自分の分を超えていこうとすると失敗する。どうやって自分で手綱を締めるか、経営者にとって大切なことだと思います。