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同友会は、中小企業の繁栄と、そこで働く全ての人の幸せを願い、地域社会の発展のために活動しています。

福島同友会副理事長 菊地逸夫氏が講演 札幌支部3月例会

2018年04月15日

明日を描ける企業へ 本業に徹することが地域貢献

 

 札幌支部は3月8日、札幌市内で3月例会を開催しました。福島、宮城県内でスーパーマーケット「フレスコキクチ」を展開するキクチ(本社・福島県)の会長で、福島同友会副理事長を務める菊地逸夫氏が「何故、あの大震災を乗り越えられたのか?」と題して講演しました。

 

 同友会で経営指針を学ぶ中で、それまで頭の中でもやもやしていた経営に対する考え方が明確になってきました。当社の存在意義は、周囲に住む人たちに幸せを感じてもらうこと。多くの借り入れをして家を建てる方の期待に応え、住んでいてよかったと実感してもらえることだと新入社員にも常に話してきました。

 

 7年前の3月11日、東京出張の途中に東日本大震災に被災しました。本社と連絡が取れない中、各店舗では避難所に総菜を配布したり、缶詰を自衛隊に提供したりと、店長が各自の判断で行動しました。

 

 3月12日、14日に原発事故が発生。主力店舗があった南相馬市は外出禁止区域となり、営業できなくなりましたが、隣の相馬市へ買い物バスを運行したりと、7万人の食をつないできました。これらの行動ができたのは、自社の存在意義を社員全員が意識していたからです。

 

 しかし、営業再開のめどは立たず、このままでは前年の半分しか売り上げが見込めませんでした。「自分たちのせいではないのに…」という歯がゆさはありましたが、社員を守るためにも宮城県への出店を決断しました。震災前は10店舗だったのが、現在は15店舗にまでなりました。社長が決断することはさほど多くありません。10年後の自社の在り方を示し、そのためのリスクを見極め、優先順位を付け、社員に将来を見せることです。

 

 震災を経験し、複雑に思える経営をシンプルに考えることができるようになりました。経営理念の浸透には、企業の存在意義を明確に伝えることが大切だと感じます。そして、地域への最大の貢献は本業に徹することだと思います。わが社も生き残りを懸け、東北の同業4社で持ち株会社を設立しました。今後も本業を通して地域へ貢献しながら、社員それぞれが明日を描ける企業づくりを進めていきます。