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66期同友会大学が公開講座

第66期同友会大学は、2018年2月1日に公開講座を開催し、京都大学大学院経済学研究科の岡田知弘教授が講演しました。
以下は講演要旨。


転換期の日本経済中小企業の視点から「好景気は本物か」 内需拡大で健全経済へ

 

世界や日本、地域のいまを巨視的に捉えることが大切です。客観的事実より、感情や個人的信条へアピールした方がより影響力があるような「ポスト真実」(Post truth)の罠からどう脱却するか。「景気はいい」という政府発表を、そのまま見出しにするマスコミ報道を無批判に受け入れず、客観的、科学的、柔軟に情勢を把握することが重要です。

 

 ■経済のグローバル化の急速な進展と矛盾の広がり

 2000年代に急速にグローバル化が進展し、海外直接投資残高は99年末の299億㌦から14年末には1949億㌦まで急拡大しました。主体は大企業で、海外雇用の77%、売上高で88%、現地法人からの収益は97%にもなり、国内製造業の空洞化も加速しました。

 世界的に格差と貧困が拡大しています。背景にはグローバリズムによる社会的矛盾の広がりがあります。米国利益第一を掲げるトランプ政権は、2国間交渉を通して日本へさらなる市場開放を求めるでしょう。日本政府はTPP合意で、進出企業の地域貢献は求めず、ゆくゆくは市町村レベルも国際調達することを容認しています。

 

 ■社会の主役は中小企業

 大災害が頻発しています。災害復興で力になっているのは、中小企業です。被災地の教訓は、中小企業が自社の社会的役割を認識し、経営指針を生かし、「人間性の復興」の先頭に立つことです。

 地域は特定の自然条件を基礎にした人間生活の領域=「基礎細胞」であり、そこで中小企業、農家、協同組合、NPO、そして地方自治体の再投資力を付けることこそ重要です。中小企業は社会の主役(中小企業憲章)です。中小企業振興基本条例への注目も高まり、大震災後、制定自治体が急増。全国300余りの自治体で制定され、道府県レベルでも43道府県に広がりました。

 

 ■日本経済再生のために

 アベノミクスの5年を経て、日本経済は年率1%程度の成長率で「好景気」とされています。大企業向け法人減税、富裕層減税の一方、消費税は増税。勤労者の社会保障負担は増し、先進国で唯一日本の雇用者報酬が落ち込んでいます。日銀のマイナス金利政策は、長期的に金融システムを弱体化させ、実体経済を破壊する「劇薬」になるとも言われています。

 中小企業憲章を根幹に据え、中小企業経営の阻害要因を取り除き、内需拡大による健全な経済政策への転換が必要です。

 

 (2月1日 第66期同友会大学公開講座より)