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第9号 2016年4〜6月期 北海道同友会 景況調査報告
第9号
北海道中小企業家同友会景況調査報告
(2016年4〜6月期)
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文責:大貝健二
札幌市豊平区旭町4-1-40北海学園大学経済学部内
TEL:011-841-1161
景況感の低迷、長期化の懸念
―需要の停滞に加え、EUショックの反動に備えよ―
 北海道中小企業家同友会2016年第2期(4〜6月)の業況判断DI(前年同期比)は、マイナス13.2であり、前回調査から2期連続での悪化となった。業種別業況判断DIの推移をみると、製造業では、マイナス18.8と前回調査から34.5ポイントの大幅な悪化を示すなど、サービス業を除いて悪化し、全業種で水面下へ沈み込む結果となっている。次期見通しに関しては、ほぼ全ての業種で改善の見通しであるが、EUショックの影響は、今回調査に反映されていないことから、先行きは非常に不透明であり、さらなる困難が生じる懸念を拭えない状況であると考えた方が良いだろう。
 仕入単価DI、販売単価DIの推移では、仕入単価DIは4.4から10.3へ上昇したのに対し、販売単価DIは前回調査に引き続き、マイナス1.9からマイナス7.0へ下落した。2015年第3期調査から縮小傾向にあったギャップは、今期において拡大している。そのほか、1人当たり売上高、1人当たり付加価値では、1人当たり付加価値が若干の上昇を示したものの、両指標ともマイナス10前後での推移となっている。さらに、「経営上の問題点」では、「同業者間の価格競争の激化」や「民間需要の停滞」の回答割合がさらに高まりを示したほか、「官公需要の停滞」も割合が高まっている。需要が停滞するなかで、売上高も付加価値も高まらない状況にあることが推察される。
 次期の経営上の力点では、「新規受注(顧客)の確保」や「付加価値の増大」加え、「社員教育」が上位にきている。景況感の低迷に加え、先行き不安が高まる中で、足下の見直しやさらなる企業努力が求められることになるだろう。
 最後に、今期の自由記述を紹介しておく。「最近レジの釣銭が増える。お客様は財布の隅々まで見て小銭を出している。景気に不安があるのでより慎重になっている。」(流通商業・札幌)、「大型工事のない中、民間の小工事及びリフォームに力を入れ、この先もその路線で行きたいと思う」(建設業・とかち)

○ 景況調査では、(1)DI 値の水準(プラスかマイナスか、また水準はどの程度か) 、 (2)前回調 査からの好転幅、悪化幅の大きさを主に見ていきます。
○ DI値の変化幅について、
@1ポイント以内の場合:「ほぼ横ばい」と表現します。
A1〜5ポイントの場合:「やや」という言葉が、好転・悪化の前に付きます。
B10ポイント以上の場合:「大幅な」という言葉が、好転・悪化の前に付きます。

1.業況判断DI(前年同期比)は7.8Pt悪化(2期連続の悪化):▲5.4から▲13.2へ
※他調査(日銀短観等)との比較:北海道同友会調査の落ち込みが目立つ
→次期見通しでは、他調査では軒並み横ばいかやや悪化の見通しだが、本調査のみ改善見通し
業況判断DIの推移
1-2.業種別業況判断
建設業:1.5Ptのやや悪化(▲25.0→▲26.5)、製造業:34.5Ptの大幅な悪化(15.7→▲18.8)
流通商業:3.5Ptのやや悪化(▲4.4→▲7.9)、サービス業:5.3Ptの改善(▲12.0→▲6.7)
次期見通し:サービス業を除いて改善(建設、製造は大幅改善)見通しだが、希望的観測がないか?
→次期見通しDI(建設業:▲3.7、製造業:0.0、流通商業:▲1.3、サービス業:▲6.9)
業種別業況判断
1-3.規模別業況判断
20人未満:13.6Ptの悪化(▲5.5→▲19.1)、20〜50人:3.5Ptのやや改善(▲16.7→▲13.2)
50〜100人:6.7Ptの悪化(0.0→▲6.7)、100人以上:20.7Ptの大幅な悪化(20.7→0.0)
次期見通し:100人規模以上を除いて、改善の見通し
→次期見通しDI(20人未満:▲10.3、20〜50人:▲2.9、50〜100人:6.7、100人以上:0.0)
規模別業況判断
2.売上高DI、採算DI、採算水準、業況水準(前年同期比)
【売上高】全体:8.4Ptの悪化(▲2.9→▲11.3)(次期:16.1Ptの大幅な改善(▲11.3→4.8)
【採 算】全体:7.1Ptの悪化(▲5.5→▲12.6)(次期:10.5Ptの大幅な改善見通し;▲12.6→▲2.2)
【採算水準】全体:8.3Ptの改善(20.5→28.8)
【業況水準】全体:5.0Ptの悪化(▲10.2→▲15.2)(次期:4.1Ptのやや改善(▲15.2→▲11.1)
売上高DI、採算DI、採算水準、業況水準
2-1.業種別売上高:流通商業を除き改善、流通商業でやや悪化;製造業、流通商業、サービス業で水面上推移
建設業:2.2Ptのやや改善(▲26.5→▲24.3)、製造業:36.9Ptの大幅な悪化(18.5→▲18.4)
流通商業:5.9Ptの悪化(▲5.9→▲11.8)、サービス業:10.0Ptの大幅な改善(0.0→10.0)
次期見通し:全業種で大幅な改善見通し(改善見通しが強くなる要因は?)
→(建設業:▲2.8、製造:▲2.1、流通商業:1.3、サービス:28.6)
業種別売上高
2-2.規模別売上高:全規模層で悪化、とりわけ20人未満で大幅な悪化
20人未満:11.4Ptの大幅な悪化(▲14.3→▲25.7)、20〜50人:1.0Ptのやや悪化(▲3.3→▲4.3)
50〜100人:3.5Ptのやや悪化(3.5→0.0)、100人以上:5.5Ptの悪化(5.5→0.0)
次期見通し:50〜100人規模を除いて、大幅な改善見通し
規模別売上高
2-3.業種別採算:製造業で大幅な悪化、流通商業、サービス業でほぼ横ばい
建設業:2.3Ptのやや悪化(▲29.1→▲31.4)、製造業:32.0Ptの大幅な悪化(15.70→▲16.3)
流通商業:ほぼ横ばい(▲10.5→▲10.4)、サービス業:ほぼ横ばい(4.0→3.7)
次期見通し:流通商業を除いて大幅な改善見通し
→(建設業:▲11.8、製造業:▲6.1、流通商業:▲4.1、サービス:14.8)
業種別採算
2-4.規模別採算:20人未満、100人以上規模層で大幅な悪化
20人未満:14.3Ptの大幅な悪化(▲11.1→▲25.4)、20〜50人:1.7Ptのやや改善(▲10.3→▲8.6)
50〜100人:横ばい推移(0.0→0.0)、100人以上:21.4Ptの大幅な悪化(16.6→▲4.8)
次期見通し:全規模層で改善見通し
→(20人未満:▲14.1、20〜50人:4.4、50〜100人:3.3、100人以上:4.8)
規模別採算
2-5.業種別採算水準:製造業、サービス業での大幅な改善、建設業で大幅な悪化
建設業:21.3Ptの大幅な悪化(37.9→16.7)、製造業:32.8Ptの大幅な改善(2.9→35.7)
流通商業:ほぼ横ばい(22.4→23.2)、サービス業:19.0Ptの大幅な改善(21.7→40.7)
業種別採算水準
2-6.規模別採算の水準:20人以上50人未満規模層を除き改善
20人未満:31.1Ptの大幅な改善(▲8.5→22.6)、20〜50人:14.7Ptの大幅な悪化(38.2→23.4)
50〜100人:20.3Ptの大幅な改善(15.4→35.7)、100人以上:9.2Ptの改善(53.3→62.5)
規模別採算の水準
2-7.業種別業況水準:変化幅が全業種で大きい(大幅な改善)、建設業を除いて水面上へ
建設業:10.6Ptの大幅な悪化(▲21.8→▲32.4)、製造業:12.0Ptの大幅な改善(▲26.3→▲14.3)
流通商業:15.9Ptの大幅な悪化(0.1→▲15.8)、サービス業:3.3Ptのやや悪化(0.0→▲3.3)
次期見通し:建設業を除いて改善の見通しとはいえ、サービス業を除いて水面下推移
→(建設業:▲35.3、製造業:▲10.2、流通商業:▲9.2、サービス業:3.4)
業種別業況の水準
2-8.規模別業況水準:20人以上50人未満、100人以上規模で大幅な悪化
20人未満:3.9Ptのやや改善(▲18.4→▲14.5)、20〜50人:8.1Ptの悪化(▲6.6→▲14.7)
50〜100人:2.2Ptのやや改善(▲22.2→▲20.0)、100人以上:20.6Ptの大幅な悪化(11.1→▲9.5)
次期見通し:20人以上50人未満規模を除いて改善の見通しとはいえ、水面下推移が目立つ
→(20人未満:▲11.6、20〜50人:▲17.6、50〜100人:0.0、100人以上:▲4.8)
規模別業況水準
3.仕入・販売単価、1人当たり売上高、1人当たり付加価値額
3-1.
仕入単価DI:前回調査から5.9Pt上昇(4.4→10.3)
販売単価DI:前回調査から5.1Pt低下(▲1.9→▲7.0)
※販売単価がマイナス推移を示すのは、13年T期以来ぶり
仕入単価・販売単価DI
3-2.
1人当たり売上高:▲7.8→▲9.9(前回調査より2.1Pt低下)
1人当たり付加価値額:▲11.0→▲9.5(前回調査より1.5Pt上昇)
1人当たり売上高・付加価値
4.人手の過不足、資金繰りの状況、設備の過不足
【人手の過不足】不足感(やや不足+不足)が約50%水準を継続
人手の過不足
[業種別]建設業で不足感が顕著、サービス業は低水準とはいえ改善傾向が続く
資金繰りの状況
[規模別]100人以上規模での著しい不足感が続く。
設備の過不足
【資金繰りの状況】余裕感が高まる
資金繰りの状況
[業種別]全業種で余裕感が高まる
業種別・資金繰りの状況
[規模別]50人以上100人未満規模のみ窮屈感が高まるが、全体としてプラス20あたりに落ち着く?
規模別・資金繰りの状況
【設備の過不足】前回調査とほぼ同様、適正感が70%を上回る。
設備の過不足
[業種別]製造業で不足感が著しい。
業種別・設備の過不足
[規模別]特に大きな変化はない。
規模別・設備の過不足
4.経営上の問題点、次期の経営上の力点
【経営上の問題点】
「同業者間の価格競争の激化」(38.6%)、「民間需要の停滞」(42.9%)、「従業員の不足」(31.5%)が上位3項目であり、前回調査と比べて回答割合が高まっている。
また、上位項目ではなく、回答割合が高まっているものは、「官公需要の停滞」(21.7%)、「管理費等間接経費の増加」(12.0)、「販売先からの値下げ要請」(4.9%)、「税負担の増加」(7.6%)
経営上の問題点
【経営上の力点】
「新規受注(顧客)の確保」(56.1%)、「付加価値の増大」(46.5%)、「社員教育」(42.2%)が上位3項目。
経営上の力点
経営上の努力・コメント一覧
経営上の努力・コメント一覧

〇回答企業数について
全体195社(札幌97、帯広26、旭川17、函館13、釧路16、北見6、日胆12、小樽8、不明0)
【業種別】建設業:37、製造業:49、流通商業:77、サービス業:30、その他:2
【規模別】20人未満:70、20人以上50人未満:71、50人以上100人未満:30、100人以上:21、不明:3
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