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第8号 2016年1〜3月期 北海道同友会 景況調査報告
第8号
北海道中小企業家同友会景況調査報告
(2016年1〜3月期)
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文責:大貝健二
札幌市豊平区旭町4-1-40北海学園大学経済学部内
TEL:011-841-1161
景気失速は免れず
―新規事業の展開、事業分野の絞り込みなど戦略的展開を―
 北海道中小企業家同友会2016年第1期(1〜3月)の業況判断DI(前年同期比)は、前回調査から7.1ポイント悪化し、マイナス5.4となった。前回調査(2015年10-12月期)における次期見通しほどの落ち込み(マイナス9.5)ではなかったものの、今期調査において2015年第2期ぶりのマイナス推移である。業種別の業況判断DI推移をみると、建設業がマイナス2.7からマイナス25.0、流通商業が7.9からマイナス4.4へと大幅に悪化した。それに対し、製造業では2.2から15.7へ13.5ポイントの大幅な改善を、サービス業ではマイナス13.7からマイナス12.0へとやや改善を示した。次期見通しは、サービス業で大幅な改善見通しだが、製造業で大幅な悪化見通しを示しているほか、全体でもマイナス2.4(改善幅:3.0)とその力は強くはない。
 仕入単価DI、販売単価DIの推移では、前回調査に引き続き、仕入単価DIは21.6から4.4へ大きく後退したほか、販売単価DIも後退している。そのほか、1人当たり売上高、1人当たり付加価値の指標を見ても、両指標ともに下落していることに加え、その下落幅が拡大していることは注意しておく必要がある。さらに、「経営上の問題点」では、「民間需要の停滞」や「同業者間の価格競争の激化」といった、景気後退局面において回答割合が高まってきている。以上のことからも、2016年に入ってから景気後退局面に突入したとみてほぼ間違いはないだろう。
 そうした中での次期の経営上の力点では、「新規受注の確保」や「付加価値の増大」加え、「人材確保」は高止まり、「社員教育」、「新規事業の展開」、「得意分野の絞り込み」といった回答が高まりを見せている。アベノミクスの効果も薄く、景気失速の懸念は、現実的なものとなり、今後も我慢が続きそうである。自社の強みを活かせる事業分野の開拓・確立とともに、長期的視点に立ち、人材確保と社員教育の強化を図り、続けることが不可欠であろう。

≪景況調査について≫
○ 景況調査は、回答者の意識・マインドを基に景気動向を分析する調査です。
○ 特に、同友会が実施する景況調査は、経営者の意識を反映するものであるため、景気動向がはっきりと表れやすいと言われています。
○ 景況動向、および「次期見通し」を自社の経営指針等の見直し等に活用してください。

≪DI値について≫
○ DI 値は、「良い」と回答した割合(%)から「悪い」と回答した割合(%)を引いた数値
○ 「良い」と回答した企業が多ければ多いほどDI は高水準で推移するが、その逆もしかり。
○ 景況調査では、(1)DI 値の水準(プラスかマイナスか、また水準はどの程度か) 、 (2)前回調 査からの好転幅、悪化幅の大きさを主に見ていきます。
○ DI値の変化幅について、
@1ポイント以内の場合:「ほぼ横ばい」と表現します。
A1〜5ポイントの場合:「やや」という言葉が、好転・悪化の前に付きます。
B10ポイント以上の場合:「大幅な」という言葉が、好転・悪化の前に付きます。

1. 業況判断DI(前年同期比)は7.1Pt悪化し水面下へ:1.7から▲5.4へ
※他調査(日銀短観等)との比較:全体的に横ばい推移か悪化;次期見通しは軒並み悪化
→北海道調査のみ、水面下推移ながらやや改善見通し(本当にそうなるのか?)
業況判断DIの推移
1-2.業種別業況判断
建設業:22.3Ptの大幅な悪化(▲2.7→▲25.0)、製造業:13.5Ptの大幅な改善(2.2→15.7)
流通商業:12.3Ptの大幅な悪化(7.9→▲4.4)、サービス業:1.7Ptのやや改善(▲13.7→▲12.0)
次期見通し:流通商業、サービス業で改善、製造業で大幅な悪化見通しながら水面上へ、建設業は低位推移
→次期見通しDI(建設業:▲21.9、製造業:2.6、流通商業:3.0、サービス業:4.0)
業種別業況判断
1-3.規模別業況判断
20人未満:2.0Ptのやや悪化(▲3.5→▲5.5)、20〜50人:13.7Ptの大幅な悪化(▲3.0→▲16.7)
50〜100人:6.7Ptの悪化(6.7→0.0)、100人以上:7.9Ptの大幅な悪化(28.6→20.7)
次期見通し:20未満規模と20人以上規模での差異
→次期見通しDI(20人未満:▲12.9、20〜50人:▲1.6、50〜100人:0.0、100人以上:16.7)
規模別業況判断
2.売上高DI、採算DI、採算水準、業況水準(前年同期比)
【売上高】全体:7.3Ptの悪化(4.4→▲2.9)(次期:3.3Ptのやや悪化(▲2.9→▲6.2)
【採 算】全体:6.6Ptの悪化(1.1→▲5.5)(次期:9.6Ptの悪化(▲5.5→▲9.6)
【採算水準】全体:28.9Ptの大幅な悪化(49.4→20.5)
【業況水準】全体:14.1Ptの大幅な悪化、次期は3.0Ptのやや改善(▲10.2→▲7.2)
売上高DI、採算DI、採算水準、業況水準
2-1.業種別売上高:製造業を除いて悪化
建設業:26.5Ptの大幅な悪化(0.0→▲26.5)、製造業:22.9Ptの大幅な改善(▲4.4→18.5)
流通商業:14.9Ptの大幅な悪化(9.0→▲5.9)、サービス業:8.7Ptの悪化(8.7→0.0)
次期見通しDI(建設業:▲31.2、製造業:5.6、流通商業:0.0、サービス業:▲3.8)
業種別売上高
2-2.規模別売上高:全規模層で悪化
20人未満:14.3Ptの大幅な悪化(0.0→▲14.3)、20〜50人:1.8tのやや悪化(▲1.5→▲3.3)
50〜100人:6.8Ptの悪化(10..3→3.5)、100人以上:32.6Ptの大幅な悪化(38.1→5.5)
次期見通し:50人以上規模層は水面上、50人未満規模層は水面下推移
→(20人未満:▲17.9、20〜50人:▲8.4、50〜100人:7.7、100人以上:6.6)
規模別売上高
2-3.業種別採算:製造業とサービス業で好転、建設業と流通商業で大幅な悪化
建設業:23.5Ptの大幅な悪化(▲5.6→▲29.1)、製造業:18.1Ptの大幅な改善(▲2.4→15.7)
流通商業:20.0Ptの大幅な悪化(9.5→▲10.5)、サービス業:17.0Ptの大幅な改善(▲13.0→4.0)
次期見通し(建設業:▲27.6、製造業:▲11.8、流通商業:▲1.5、サービス業:▲3.8)
業種別採算
2-4.規模別採算:全規模層で悪化 水準は50人を境に異なる
20人未満:13.0Ptの大幅な悪化(1.9→▲11.1)、20〜50人:4.3Ptのやや悪化(▲6.0→▲10.3)
50〜100人:3.7Ptのやや悪化(3.7→0.0)、100人以上:12.0Ptの大幅な悪化(28.6→16.6)
次期見通し(20人未満:▲18.5、20〜50人:▲14.3、50〜100人:12.0、100人以上:▲13.3)
規模別採算
2-5.業種別採算水準:建設業を除いて軒並み悪化(周期的な要素が強い)
建設業:9.8Ptの改善(28.1→37.9)、製造業:59.6Ptの大幅な悪化(62.5→2.9)
流通商業:29.8Ptの大幅な悪化(52.2→22.4)、サービス業:23.3Ptの大幅な悪化(45.0→21.7)
業種別採算水準
2-6.規模別採算の水準:全規模層で悪化
20人未満:48.5Ptの大幅な悪化(40.0→▲8.5)、20〜50人:12.7Ptの大幅な悪化(50.8→38.2)
50〜100人:34.6Ptの大幅な悪化(50.0→15.4)、100人以上:16.7Ptの大幅な悪化(70.0→53.3)
規模別採算の水準
2-7.業種別業況水準:サービス業を除いて悪化(特に、建設業、製造業は大幅な悪化)
建設業:21.8Ptの大幅な悪化(0.0→▲21.8)、製造業:30.7Ptの大幅な悪化(4.4→▲26.3)
流通商業:7.9Ptの悪化(8.0→0.1)、サービス業:9.1Ptの善(▲9.1→0.0)
次期見通し:製造業で大幅改善見通しも、全業種で水面下推移見通し
    (建設業:▲21.8、製造業:▲5.2、流通商業:▲1.4、サービス業:▲4.0)
業種別業況の水準
2-8.規模別業況水準:20人〜50人規模層を除いて大幅な悪化
20人未満:20.2Ptの大幅な悪化(1.8→▲18.4)、20〜50人:2.4Ptのやや改善(▲9.0→▲6.6)
50〜100人:39.4Ptの大幅な悪化(17.2→▲22.2)、100人以上:22.2Ptの大幅な悪化(33.3→11.1)
次期見通し:50〜100人規模層のみ大幅な改善、100人以上規模を除いて水面下推移見通し
→(20人未満:▲20.4、20〜50人:▲6.7、50〜100人:▲3.7、100人以上:5.6)
規模別業況水準
3.仕入・販売単価、1人当たり売上高、1人当たり付加価値額
3-1.
仕入単価DI:前回調査から17.2ポイント低下(21.6→4.4)
販売単価DI:前回調査から9.3ポイント低下(7.4→▲1.9)
※仕入単価DIと販売単価DIのギャップは、仕入単価DIの大幅下落により縮小して、6.3へ
仕入単価・販売単価DI
3-2.
1人当たり売上高:前回より6.7ポイント低下(▲1.1→▲7.8)
1人当たり付加価値額:前回調査より8.8ポイント低下(▲2.2→▲11.0)
1人当たり売上高・付加価値
4.人手の過不足、資金繰りの状況、設備の過不足
【人手の過不足】不足感(やや不足+不足)が約50%で高止まり(3期連続)
人手の過不足
【資金繰りの状況】窮屈感がやや高まる。
資金繰りの状況
【設備の過不足】前回調査とほぼ同様、適正感が70%を上回る。
設備の過不足
4.経営上の問題点、次期の経営上の力点
経営上の問題点:「民間需要の停滞」(42.3%)、「同業者間の価格競争の激化」(34.4%)、「従業員の不足」(28.8%)が上位3項目。「取引先の減少」、「人件費の増加」の割合が上昇していることに注目
経営上の問題点
経営上の力点:「新規受注の確保」、「付加価値の増大」に加え、「社員教育」が上位3項目。
経営上の力点
5.経営上の努力(自由回答)
経営上の努力・コメント一覧

経営上の努力・コメント一覧

経営上の努力・コメント一覧

経営上の努力・コメント一覧

経営上の努力・コメント一覧

〇回答企業数について
・全体169社(札幌80、帯広24、旭川9、函館9、釧路16、北見6、日胆15、小樽9、不明1)
※前回調査(184社)との比較:札幌-5、帯広-5、旭川-6、函館-3、釧路+1、北見±0、日胆+2、小樽±0
※15年第U期(225社)との比較:札幌-28、帯広-7、旭川-4、函館-7、釧路-10、北見-2、日胆±0、小樽+1

・【業種別】建設業34社(-9)、製造業38社(-17)、流通商業68社(-10)、サービス業26社(-13)
※( )内は、2015年第U期との比較

・【規模別】20人未満:56社(-24)、20人以上50人未満:60社(-17)、50人以上100人未満28社(-5)、100人以上:18社(-4)、不明:7社(±0)
※景況感が悪化すると、回答数が減少するが、より規模が小さい企業からの回答が減少?
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