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第7号 2015年10〜12月期 北海道同友会 景況調査報告
第7号
北海道中小企業家同友会景況調査報告
(2015年10〜12月期)
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文責:大貝健二
札幌市豊平区旭町4-1-40北海学園大学経済学部内
TEL:011-841-1161
景況感の改善は今期まで
―景気後退のシグナル強く、ほぼ全ての指標で次期は悪化―
 北海道中小企業家同友会2015年第4期(10〜12月)の業況判断DI(前年同期比)は、前回調査とほぼ横ばいの1.7にとどまった(前回調査は1.0)。また、次期見通しはマイナス9.5と今期調査から11.2ポイントもの大幅な悪化予想である。前回調査ですでに景況感の先行き不透明感が表れていたが、今期調査ではさらに不透明感が強まった。15年第1期から続いた景況感の改善は今期までとなり、次期以降は、景気後退局面に突入することは、ほぼ間違いないだろう。

 業種別に業況判断DIの推移では、建設業がマイナス11.9からマイナス2.7へ、流通商業が2.4から7.9へと改善を示した。他方で、製造業では5.9から2.2へやや悪化し、サービス業では、6.9からマイナス13.7へ大幅な悪化となった。今期までの動向は業種別に異なっているが、次期は全業種で悪化する見通しである。とりわけ、製造業、流通商業、サービス業で大幅な悪化見通しである。

 前回調査まで、景況感の改善は、@仕入単価DIと販売単価DIのギャップ縮小と、A1人当たり売上高DIと付加価値DIがともに好転していたことにも示される。今期では、@仕入単価DIが大幅に下降し、ギャップは縮小しているものの、同時に販売単価DIも下降しているほか、A1人当たり売上高と付加価値DIも悪化し始めている。これらの指標が下降、ないしは悪化し始めるときは、景気後退局面に突入するときであることは、過去の推移を見れば明らかである。

 「経営上の問題点」では、需要の停滞感(「民間需要の停滞」、「観光需要の停滞」の高まり)が表れているほか、「従業員の不足」、「熟練技術者の確保難」などが急上昇している。
 そのほか、国内外の情勢不安、中国や新興国の経済停滞など、景気後退への懸念材料は枚挙にいとまがない。しばらくは、情勢の注視と我慢の経営が強いられそうである。

≪景況調査について≫
○ 景況調査は、回答者の意識・マインドを基に景気動向を分析する調査です。
○ 特に、同友会が実施する景況調査は、経営者の意識を反映するものであるため、景気動向がはっきりと表れやすいと言われています。
○ 景況動向、および「次期見通し」を自社の経営指針等の見直し等に活用してください。

≪DI値について≫
○ DI 値は、「良い」と回答した割合(%)から「悪い」と回答した割合(%)を引いた数値
○ 「良い」と回答した企業が多ければ多いほどDI は高水準で推移するが、その逆もしかり。
○ 景況調査では、(1)DI 値の水準(プラスかマイナスか、また水準はどの程度か) 、 (2)前回調 査からの好転幅、悪化幅の大きさを主に見ていきます。
○ DI値の変化幅について、
@1ポイント以内の場合:「ほぼ横ばい」と表現します。
A1〜5ポイントの場合:「やや」という言葉が、好転・悪化の前に付きます。
B10ポイント以上の場合:「大幅な」という言葉が、好転・悪化の前に付きます。


0-1回答企業数
・全体で184社(札幌85、帯広29、旭川15、函館12、釧路15、北見6、日胆13、小樽9、不明0)
 【業種別】建設業:37、製造業:45、流通商業:78、サービス業:23、その他:1
 【規模別】20人未満:57、20人以上50人未満:68、50人以上100人未満:30、100人以上:21、不明:8

1. 業況判断DI(前年同期比)はほぼ横ばい:1.0→1.7
※4期連続改善:次期見通しは▲9.5へ(マイナス11.2ポイントの大幅な悪化見通し)
業況判断DIの推移
1-2.業種別業況判断
建設業:9.2Ptの改善(▲11.9→▲2.7)、製造業:3.7Ptのやや悪化(5.9→2.2)
流通商業:5.5Ptの改善(2.4→7.9)、サービス業:20.6Ptの大幅な悪化(6.9→▲13.7)
次期見通し:全業種で悪化の見通し(なかでも、製造業、流通商業、サービス業で大幅悪化の見通し)
→次期見通しDI(建設業:▲8.3、製造業:▲9.1、流通商業:▲3.9、サービス業:▲27.3)
業種別業況判断
1-3.規模別業況判断
20人未満:15.6Ptの大幅な改善(▲19.1→▲3.5)、20〜50人:7.0Ptの悪化(4.0→▲3.0)
50〜100人:5.1Ptの悪化(11.8→6.7)、100人以上:11.4Ptの大幅な悪化(40.0→28.6)
次期見通し:全規模で悪化見通しだが、100以上規模と100人未満規模とでは水準が大きく異なる
→次期見通しDI(20人未満:▲19.6、20〜50人:▲13.6、50〜100人:▲3.3、100人以上:23.8)
規模別業況判断
2.売上高DI、採算DI、採算水準、業況水準(前年同期比)
【売上高】全体:ほぼ横ばい(4.3→4.4)(次期:6.6Ptの悪化(4.4→▲2.2)
【採 算】全体:3.2Ptのやや改善(▲2.0→1.1)(次期:5.8Ptの悪化見通し;1.1→▲4.7)
【採算水準】全体:10.1Ptの大幅な改善(39.2→49.4)
【業況水準】全体:4.3Ptのやや悪化、次期は11.7Ptの大幅な悪化(8.2→3.9→(▲7.8))
売上高DI、採算DI、採算水準、業況水準
2-1.業種別売上高:建設業で大幅改善、流通商業で改善、製造業で大幅悪化、サービス業で悪化
建設業:14.0Ptの大幅悪化(▲14.0→0.0)、製造業:12.1Ptの大幅な悪化(7.7→▲4.4)
流通商業:2.9Ptのやや改善(6.1→9.0)、サービス業:7.4Ptの悪化(16.1→8.7)
次期見通し:製造業を除いて悪化見通し;建設業と流通商業で水面下へ沈み込む
→次期見通し(建設:▲15.2、製造:4.4、流通商業:▲2.6、サービス:4.3)
業種別売上高
2-2.規模別売上高: 20人以上50人未満、100人以上規模で大幅な改善
20人未満:4.3Ptの悪化(4.3→0.0)、20〜50人:14.5tの大幅何改善(▲15.9→▲1.5)
50〜100人:4.0Ptのやや悪化(14.3→10.3)、100人以上:23.4Ptの大幅な改善(14.7→38.1)
次期見通し:全規模層で悪化見通し;50人未満規模で水面下推移
→(20人未満:▲7.1、20〜50人:▲9.4、50〜100人:6.9、100人以上:28.6)
規模別売上高
2-3.業種別採算:建設業、製造業で改善:流通商業、サービス業で悪化
建設業:11.1Ptの大幅な改善(▲16.7→▲5.6)、製造業:4.7Ptの改善(▲7.1→▲2.4)
流通商業:9.1Ptの悪化(18.6→9.5)、サービス業:27.3Ptの大幅な悪化(14.3→▲13.0)
次期見通し:(建設:▲12.1、製造:2.4、流通商業:▲1.4、サービス:▲8.7)
業種別採算
2-4.規模別採算: 100人以上か未満かで、動向が異なる:100人未満規模では、0.0〜2.0に収れん
20人未満:11.1Ptの大幅な改善(▲9.2→1.9)、20〜50人:2.1Ptのやや改善(▲8.1→▲6.0)
50〜100人:18.2Ptの大幅な悪化(21.9→3.7)、100人以上:19.0Ptの大幅な改善(9.5→28.6)
次期見通し:(20人未満:▲9.4、20〜50人:▲9.4、50〜100人:3.7、100人以上:23.8)
規模別採算
2-5.業種別採算水準:製造業、サービス業で大幅な改善
建設業:2.4Ptのやや悪化(30.6→28.1)、製造業:30.6Ptの大幅な改善(31.9→62.5)
流通商業:5.3Ptの悪化(57.5→52.2)、サービス業:27.8Ptの大幅な改善(17.2→45.0)
業種別採算水準
2-6.規模別採算の水準:全規模層で改善傾向だが、高水準で推移していた100人以上規模でやや悪化
20人未満:9.4Ptの改善(30.6→40.0)、20〜50人:10.6Ptの大幅改善(40.3→50.8)
50〜100人:14.3Ptの大幅な改善(35.7→50.0)、100人以上:2.2Ptのやや悪化(72.2→70.0)
規模別採算の水準
2-7.業種別業況水準:建設業、製造業でやや改善、流通商業でやや悪化、サービス業で大幅な悪化
建設業:4.8Ptのやや改善(▲4.8→0.0)、製造業:4.0Ptのやや改善(0.4→4.4)
流通商業:3.3Ptのやや悪化(11.3→8.0)、サービス業:28.0Ptの大幅な悪化(18.9→▲9.1)
次期見通し:前回調査に引き続き、全業種で悪化の見通し(悪化幅も小さくはない)
→(建設:▲13.5、製造:▲4.4、流通商業:▲4.0、サービス:▲18.2)
業種別業況の水準
2-8.規模別業況水準:20人以上50人未満で大幅な悪化、それ以外では改善傾向
20人未満:6.3Ptの改善(▲4.5→1.8)、20〜50人:15.6Ptの大幅な悪化(6.6→▲9.0)
50〜100人:8.4Ptの改善(8.8→17.2)、100人以上:横ばい推移(33.3→33.3)
次期見通し:全規模で悪化見通し、水準では50人を境に格差が依然として存在
→(20人未満:▲14.3、20〜50人:▲16.4、50〜100人:6.9、100人以上:14.3)
規模別業況水準
3.仕入・販売単価、1人当たり売上高、1人当たり付加価値額
3-1.
仕入単価DI:前回調査から16.5ポイント低下(38.1→21.6)
販売単価DI:前回調査から5.3ポイント低下(12.7→7.4)
※ 2015年第2期調査から大幅に低下し、仕入単価DIと販売単価DIのギャップは14.2へ
仕入単価・販売単価DI
3-2.
1人当たり売上高:2.4→▲1.1(前回調査でプラスに転じたが、すぐにマイナスへ:3.5Pt低下)
1人当たり付加価値額:▲1.9→▲2.2(前回調査とほぼ横ばい:0.3Pt低下)
1人当たり売上高・付加価値
4.人手の過不足、資金繰りの状況、設備の過不足
【人手の過不足】不足感(やや不足+不足)が約50%であることは前回調査と同様
人手の過不足
【資金繰りの状況】わずかだが余裕感が後退し順調が拡大
資金繰りの状況
【設備の過不足】前回調査とほぼ同様、適正感が70%を上回る。
設備の過不足
4.経営上の問題点、次期の経営上の力点
経営上の問題点:「民間需要の停滞」(42.1%)、「従業員の不足」(35.4%)「同業者間の価格競争の激化」(32.0%)、が上位3項目。特に、「民間需要の停滞」と「従業員の不足」が急上昇していることに注目
また、「官公需要の停滞」、「熟練技術者の確保難」の割合も前回調査から継続して上昇している
経営上の問題点
経営上の力点:「新規受注の確保」(54.7%)、「人材確保」(46.9%)、「付加価値の増大」(38.5%)、が上位3項  目だが、「人材確保」急上昇に注目
経営上の力点


経営上の努力・コメント一覧

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