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第6号 2015年7〜9月期 北海道同友会 景況調査報告
第6号
北海道中小企業家同友会景況調査報告
(2015年7〜9月期)
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文責:大貝健二
札幌市豊平区旭町4-1-40北海学園大学経済学部内
TEL:011-841-1161
3期連続の景況改善でプラスに転じる
―規模間格差、先行き不透明感、今後の動向に注意―
 北海道中小企業家同友会2015年第3期(7〜9月)の業況判断DI(前年同期比)は、前回調査の▲6.4から7.4ポイントの改善を示し1.0となった。水面上に浮上したのは、14年第1期調査以来であり、3期連続の改善である。次期見通しは2.0とやや改善の見通しであるものの改善幅は大きくない。今後の景気動向に対して注意が必要であろう。
 業種別に業況判断DIの推移を見ると、流通商業が12.4から2.4へ10ポイントの大幅な悪化を示した。それに対し、建設業、製造業では20ポイントを上回る大幅な改善を示した。特に製造業で水面上に浮上したほか、サービス業でも2013年第4期以来ぶりにプラスに転じている。次期見通しでは、サービス業を除いてやや改善の見通しであるが、その力は強くない。
 規模別業況判断では、20人以上規模層で軒並み改善し水面上へ浮上した一方で、20人未満規模層のみ悪化を示し、▲20水準まで落ち込んでいる。全体的には回復基調であるが、規模間の差異を伴ったものであることは留意しておいた方がよいだろう。
 今期の景況感の改善は、@仕入単価DIと販売単価DIギャップの縮小、A1人当たり売上高DIと付加価値DIが2015年第1期から好転し続けていることに端的に示されている。特に、燃料価格の高止まりといった、これまでの足かせがなくなりつつあることに加え、売上高、付加価値が増加していることがプラスに作用している。
 しかし、この景況感の長続きするかどうかに関しては懸念材料がある。経営上の問題点において、本来であれば景気後退局面で上昇する項目(官公需要の停滞、同業者間の価格競争)の回答割合が高まっている。そのほかにも、中国経済リスクなどの外部の不安定要因や、「プレミアム商品券」による需要の先食い感がある。また、人手の不足感がかなり高まっている。決して楽観視することなく、足元を固める経営の実践が求められる

≪景況調査について≫
○ 景況調査は、回答者の意識・マインドを基に景気動向を分析する調査です。
○ 特に、同友会が実施する景況調査は、経営者の意識を反映するものであるため、景気動向がはっきりと表れやすいと言われています。
○ 景況動向、および「次期見通し」を自社の経営指針等の見直し等に活用してください。

≪DI値について≫
○ DI 値は、「良い」と回答した割合(%)から「悪い」と回答した割合(%)を引いた数値
○ 「良い」と回答した企業が多ければ多いほどDI は高水準で推移するが、その逆もしかり。
○ 景況調査では、(1)DI 値の水準(プラスかマイナスか、また水準はどの程度か) 、 (2)前回調 査からの好転幅、悪化幅の大きさを主に見ていきます。
○ DI値の変化幅について、
@1ポイント以内の場合:「ほぼ横ばい」と表現します。
A1〜5ポイントの場合:「やや」という言葉が、好転・悪化の前に付きます。
B10ポイント以上の場合:「大幅な」という言葉が、好転・悪化の前に付きます。

1. 業況判断DI(前年同期比)は7.4Pt改善し水面上へ:▲6.4から1.0へ
※3期連続改善:次期見通しは2.0へ(プラス1.0改善)、前回調査の時期見通しと今期結果のズレ
業況判断DIの推移

1-2.業種別業況判断
建設業:23.0Ptの大幅な改善(▲34.9→▲11.9)、製造業:21.0Ptの大幅な改善(▲15.1→5.9)
流通商業:10.0Ptの大幅な悪化(12.4→2.4)、サービス業:9.4Ptの改善(▲2.5→6.9)
次期見通し:建設業、製造業、流通商業でやや改善、サービス業で大幅な悪化見通し
→次期見通しDI(建設業:▲7.3、製造業:8.0、流通商業:4.8、サービス業:▲3.4)
業種別業況判断

1-3.規模別業況判断
20人未満:8.8Ptの悪化(▲10.3→▲19.1)、20〜50人:12.4Ptの大幅な改善(▲8.4→4.0)
50〜100人:8.4Ptの改善(3.4→11.8)、100人以上:25.7Ptの大幅な改善(14.3→40.0)
次期見通し:企業規模によって異なる
→次期見通しDI(20人未満:▲8.8、20〜50人:1.3、50〜100人:11.8、100人以上:35.0)
規模別業況判断

2.売上高DI、採算DI、採算水準、業況水準(前年同期比)
【売上高】全体:5.6Ptの改善(▲1.3→4.3)(次期:1.3Ptのやや悪化(4.3→3.0)
【採 算】全体:5.5Ptの改善(▲7.3→▲2.0)(次期:ほぼ横ばい見通し;▲2.0→▲1.6)
【採算水準】全体:39.2Ptの改善(23.0→39.2)
【業況水準】全体:20.9Ptの大幅改善、次期は12.6Ptの大幅な悪化(▲12.7→8.2→▲4.4)
売上高DI、採算DI、採算水準、業況水準

2-1.流通商業を除いて改善、流通商業でやや悪化;製造業、流通商業、サービス業で水面上推移
建設業:20.9Ptの大幅悪化(▲34.9→▲14.0)、製造業:9.6Ptの改善(▲1.9→7.7)
流通商業:3.3Ptのやや悪化(9.4→6.1)、サービス業:5.9Ptの改善(10.2→16.1)
次期見通し:流通商業、サービス業で悪化見通しだが、建設業を除いて水面上推移
業種別売上高

2-2.規模別売上高:20人未満で改善、20人〜100人未満で悪化、100人以上で横ばい推移
20人未満:9.4Ptの改善(▲5.1→4.3)、20〜50人:6.3tの悪化(▲9.6→▲15.9)
50〜100人:13.8Ptの大幅な悪化(26.6→14.3)、100人以上:ほぼ横ばい(14.3→14.7)
次期見通し:規模層によって異なるが、全業種水面上に
→(20人未満:0.0、20〜50人:2.7、50〜100人:9.1、100人以上:19.0)
規模別売上高

2-3.業種別採算:流通商業を除いて大幅な改善、流通商業で大幅な悪化、次期はサービス業で大幅悪化
建設業:17.9Ptの大幅な改善(▲34.1→▲16.2)、製造業:6.2Ptの改善(▲16.0→▲9.8)
流通商業:10.7Ptの大幅な悪化(14.4→3.8)、サービス業:29.4Ptの大幅な改善(▲19.4→10.0)
次期見通し:(建設:▲8.6、製造:0.0、流通商業:2.6、サービス:▲7.4)
業種別採算

2-4.規模別採算: 50人未満規模で大幅改善し、水準自体も向上
20人未満:10.1Ptの大幅改善(20.5→30.6)、20〜50人:31.1Ptの大幅改善(9.2→40.3)
50〜100人:2.3Ptのやや悪化(38.0→35.7)、100人以上:4.0Ptのやや悪化(76.2→72.2)
規模別採算

2-5.業種別採算水準:建設業、流通商業で大幅な改善、サービス業で悪化
建設業:22.8Ptの大幅改善(7.8→30.6)、製造業:5.0Ptの改善(26.9→31.9)
流通商業:31.5Ptの大幅改善(26.0→57.5)、サービス業:9.8Ptの悪化(27.0→17.2)
業種別採算水準
2-6.規模別採算の水準: 50人未満規模で大幅改善し、水準自体も向上
20人未満:10.1Ptの大幅改善(20.5→30.6)、20〜50人:31.1Ptの大幅改善(9.2→40.3)
50〜100人:2.3Ptのやや悪化(38.0→35.7)、100人以上:4.0Ptのやや悪化(76.2→72.2)
規模別採算の水準

2-7.業種別業況水準:変化幅が全業種で大きい(大幅な改善)、建設業を除いて水面上へ
建設業:18.4Ptの大幅な改善(▲23.2→▲4.8)、製造業:13.5Ptの大幅な改善(▲13.1→0.4)
流通商業:18.7Ptの大幅な改善(▲7.4→11.3)、サービス業:31.7Ptの大幅な改善(▲12.8→18.9)
次期見通し:全業種で悪化の見通し(建設:▲14.3、製造:▲4.0、流通商業:▲2.5、サービス:3.4)
業種別業況の水準

2-8.規模別業況水準:20人未満で改善、20人以上規模層で大幅な改善
20人未満:9.5Ptの大幅改善(▲14.0→▲4.5)、20〜50人:22.2Ptの大幅な改善(▲15.6→6.6)
50〜100人:15.4Ptの大幅改善(▲6.6→8.8)、100人以上:33.3Ptの大幅な改善(0.0→33.3)
次期見通し:100以上規模のみやや改善、100人未満で悪化、とりわけ50人未満で大幅な悪化見通し
→(20人未満:▲18.0、20〜50人:▲9.2、50〜100人:5.9、100人以上:38.0)
規模別業況水準

3.仕入・販売単価、1人当たり売上高、1人当たり付加価値額
3-1.
仕入単価DI:前回調査から6.7ポイント低下(44.8→38.1)
販売単価DI:前回調査からほぼ横ばい(12.8→12.7)
※仕入単価DIと販売単価DIのギャップは、仕入単価DIが低下したことにより縮小し25.4へ
仕入単価DI、販売単価DIの推移

3-2.
1人当たり売上高:▲10.3→2.4(前回調査より12.7Pt上昇)
1人当たり付加価値額:▲12.0→▲1.9(前回調査より10.1ポイント上昇)
1人当たり売上高・付加価値

4.人手の過不足、資金繰りの状況、設備の過不足
【人手の過不足】不足感(やや不足+不足)が約50%に:正規従業員が特に不足
人手の過不足

【資金繰りの状況】前回調査に続き、余裕感が高まる
資金繰りの状況

【設備の過不足】前回調査とほぼ同様、適正感が70%を上回る。
設備の過不足

4.経営上の問題点、次期の経営上の力点
経営上の問題点:「民間需要の停滞」(36.1%)、「同業者間の価格競争の激化」(34.6%)、「従業員の不足」(28.4%)が上位3項目。「官公需要の停滞」、「熟練技術者の確保難」の割合も上昇していることに注目
経営上の問題点
経営上の力点:「新規受注の確保」、「付加価値の増大」、「人材確保」が上位3項目。
経営上の力点


経営上の努力・コメント一覧

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