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第5号 2015年4〜6月期 北海道同友会 景況調査報告
第5号
北海道中小企業家同友会景況調査報告
(2015年4〜6月期)
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文責:大貝健二
札幌市豊平区旭町4-1-40北海学園大学経済学部内
TEL:011-841-1161
景況感の大幅改善も今後に注意
流通商業、50人以上規模層が牽引
 北海道中小企業家同友会2015年第2期(4〜6月)の業況判断DI(前年同期比)は第1期の▲19.8から13.4ポイントの大幅な改善を示し、▲6.4となった。に悪化し13.6となった。次期見通しにはまだ弱さが感じられるが、2014年からの景気後退は2014年第4期がボトムだったとみて良いだろう。
 業種別業況判断DIをみると、流通商業が牽引していることが明らかである。前期業況判断DIの▲28.9から12.4へと41.3ポイントもの大幅な改善を示し水面上へ浮上した。製造業でも▲22.4から▲15.1へ7.3ポイントの改善を示した。他方で、建設業では▲18.6から▲34.9へ16.3ポイントの大幅な悪化となった。次期見通しは、建設業で大幅な改善見通し(▲34.9→▲7.0)であるが、製造業では横ばい推移、流通商業、サービス業では大幅な悪化見通し(流通商業:12.4→▲4.9、サービス業:▲2.5→▲17.9)である。景況感の本格的改善に向けては、まだその力が弱いと思われる。
 業況判断DIを規模別に見ると、全規模層で景況感の改善が見られるが、とりわけ50人以上規模企業において改善幅が大きい。50人以上100人未満規模で20.6ポイント(▲17.2→3.4)、100人以上規模で34.3ポイント(▲20.0→14.3)の大幅改善である。次期見通しでは、全業種で悪化見通しとなっており、先行きに関しては楽観視することはできない。同様に、ギリシャや中国市場の混乱も今後の景況動向に影響を与える可能性が十分にあるため、注視が必要であろう。
 最後に、今期の経営上の努力として記述があったものをいくつか紹介しておく。「北海道産に力を入れ、地産地消と安全・安心をアピール」(日胆・サービス業)、「”もっと働きたくなる職場づくり”を掲げ全社的に取り組んでいます。7月に”仕事改革発表会”を開催するなど、会社的連携を強めたい」(札幌・流通商業)

≪景況調査について≫
○ 景況調査は、回答者の意識・マインドを基に景気動向を分析する調査です。
○ 特に、同友会が実施する景況調査は、経営者の意識を反映するものであるため、景気動向がはっきりと表れやすいと言われています。
○ 景況動向、および「次期見通し」を自社の経営指針等の見直し等に活用してください。

≪DI値について≫
○ DI 値は、「良い」と回答した割合(%)から「悪い」と回答した割合(%)を引いた数値
○ 「良い」と回答した企業が多ければ多いほどDI は高水準で推移するが、その逆もしかり。
○ 景況調査では、(1)DI 値の水準(プラスかマイナスか、また水準はどの程度か) 、 (2)前回調 査からの好転幅、悪化幅の大きさを主に見ていきます。
○ DI値の変化幅について、
@1ポイント以内の場合:「ほぼ横ばい」と表現します。
A1〜5ポイントの場合:「やや」という言葉が、好転・悪化の前に付きます。
B10ポイント以上の場合:「大幅な」という言葉が、好転・悪化の前に付きます。

1. 業況判断DI(前年同期比)は13.4Ptの大幅改善:▲19.8から▲6.4へ
※2期連続改善:14年第4期がボトム?次期見通しは3.7Ptの悪化
業況判断DIの推移
1-2.業種別業況判断
建設業:16.3Ptの大幅な悪化(▲18.6→▲34.9)、製造業:7.3Ptの改善(▲22.4→▲15.1)
流通商業:41.3Ptの大幅な改善(▲28.9→12.4)、サービス業:ほぼ横ばい(▲2.4→▲2.5)
次期見通し:建設業で大幅な改善、流通商業、サービス業で大幅な悪化見通し(反動的?)
→次期見通しDI(建設業:▲7.0、製造業:▲15.1、流通商業:▲4.9、サービス業:▲17.9)
業種別業況判断
1-3.規模別業況判断
20人未満:12.0Ptの大幅な改善(▲22.3→▲10.3)、20〜50人:6.6Ptの改善(▲15.0→▲8.4)
50〜100人:20.6Ptの大幅改善(▲17.2→3.4)、100人以上:34.3Ptの大幅改善(▲20.0→14.3)
次期見通し:全規模層で悪化見通し(反動的?)
→次期見通しDI(20人未満:▲11.6、20〜50人:▲13.2、50〜100人:3.3、100人以上:0.0)
規模別業況判断
2.売上高DI、採算DI、採算水準、業況水準(前年同期比)
【売上高】全体:9.6Ptの改善(▲10.9→▲1.3)(次期:2.2Ptのやや改善(▲1.3→0.9)
【採 算】全体:7.3Ptの改善(▲14.8→▲7.3)(次期:2.6Ptのやや改善見通し;▲7.3→4.9)
【採算水準】全体:6.7Ptの改善(16.3→23.0)
【業況水準】全体:6.8Ptの改善、次期は2.4Ptのやや悪化(▲19.5→▲12.7→▲15.1)
売上高DI、採算DI、採算水準、業況水準
2-1.業種別売上高:製造業、流通商業で大幅改善、建設業で大幅悪化;流通商業とサービス業で水面上推移
建設業:34.9Ptの大幅悪化(0.0→▲34.9)、製造業:22.6Ptの大幅改善(▲24.5→▲1.9)
流通商業:28.5Ptの大幅改善(▲19.1→9.4)、サービス業:3.3Ptのやや改善(6.9→10.2)
次期見通し:建設業で大幅な改善見通し(▲4.9)、他の業種はやや悪化見通し
→(建設:▲4.9、製造:▲5.9、流通商業:4.8、サービス:5.3)
業種別売上高
2-2.規模別売上高:50人以上規模層での改善幅が大きい。
20人未満:ほぼ横ばい(▲16.2→▲16.3)、20〜50人:12.7Ptの大幅改善(▲16.9→▲4.2)
50〜100人:20.4Ptの大幅改善(▲27.0→▲6.6)、100人以上:やや悪化(▲12.0→▲14.3)
次期見通し:20人以上50人未満規模層を除き改善見通し;特に50人以上100人未満層で顕著
→(20人未満:▲8.3、20〜50人:▲8.7、50〜100人:20.7、100人以上:▲9.6)
規模別売上高
2-3.業種別採算:流通商業で大幅改善、建設業で大幅悪化、次期は建設業とサービス業で大幅改善見通し
建設業:19.5Ptの大幅な悪化(▲14.6→▲34.1)、製造業:9.0Ptの改善(▲25.0→▲16.0)
流通商業:26.5Ptの大幅な改善(▲12.1→14.4)、サービス業:7.5Ptの悪化(▲11.9→▲19.4)
次期見通し:(建設:▲13.2、製造:▲20.8、流通商業:8.6、サービス:▲8.6)
業種別採算
2-4.規模別採算:「20人以上50人未満」規模で悪化、50人以上規模層で大幅な改善
20人未満:7.3Ptの改善(▲23.1→▲15.8)、20〜50人:8.0Ptの悪化(▲7.0→▲15.0)
50〜100人:27.4Ptの大幅改善(▲3.3→24.1)、100人以上:28.6Ptの大幅改善(▲15.0→13.6)
次期見通し:(20人未満:▲10.7、20〜50人:▲6.7、50〜100人:17.2、100人以上:▲4.8)
規模別採算
2-5.業種別採算水準:製造業で大幅な改善と建設業での大幅な悪化(第1期は製造業で悪化するサイクル)
建設業:13.2Ptの大幅悪化(21.0→7.8)、製造業:42.4Ptの大幅改善(▲15.5→26.9)
流通商業:4.4Ptのやや改善(21.6→26.0)、サービス業:7.1Ptの悪化(34.1→27.0)
業種別採算水準
2-6.規模別採算の水準: 「20〜50人」規模を除いて大幅な改善(前回調査と真逆の動き)
20人未満:26.9Ptの大幅改善(▲6.4→20.5)、20〜50人:33.2Ptの大幅悪化(42.4→9.2)
50〜100人:19.5Ptの大幅改善(18.5→38.0)、100人以上:58.5Ptの大幅改善(17.7→76.2)
規模別採算の水準
2-7.業種別業況水準:水面下とはいえ製造業、流通商業、サービス業で大幅な改善、建設業で大幅な悪化
建設業:14.1Ptの大幅な悪化(▲9.1→▲23.2)、製造業:14.9Ptの大幅な改善(▲28.0→▲13.1)
流通商業:13.0Ptの大幅な改善(▲20.4→▲7.4)、サービス業:9.1Ptの大幅な改善(▲21.9→▲12.8)
次期見通し:今期の反動か、建設業を除いて悪化の見通し
→(建設:▲11.7、製造:▲18.8、流通商業:▲12.4、サービス:▲20.5)
業種別業況の水準
2-8.規模別業況水準:「20-50人」規模を除いて改善、次期見通しは「やや悪化」
20人未満:16.1Ptの大幅改善(▲30.1→▲14.0)、20〜50人:7.4Ptの悪化(▲8.2→▲15.6)
50〜100人:14.1Ptの大幅改善(▲20.7→▲6.6)、100人以上:5.0Ptの改善(▲5.0→0.0)
次期見通し:「20-50」人規模を除いて悪化見通しだが、悪化見通し幅は大きくない
→(20人未満:▲16.4、20〜50人:▲17.0、50〜100人:▲3.3、100人以上:▲9.5)
規模別業況水準
3.仕入・販売単価、1人当たり売上高、1人当たり付加価値額
3-1.
仕入単価DI:2014年第U期をピークに低下していたが、今期は上昇(37.2→44.8)
販売単価DI:2014年第U期をピークに低下していたが、今期はやや上昇(12.8)
仕入単価DI、販売単価DIの推移
3-2.
1人当たり売上高:▲14.0→▲10.3(前回調査より3.7Pt上昇)
1人当たり付加価値額:▲18.0→▲12.0(前回調査より6.0ポイント上昇)
商品単価DI、販売単価DIの推移
4.人手の過不足、資金繰りの状況、設備の過不足
【人手の過不足】前回調査と同様。全業種で不足感が高いが、建設業でDIが大きく改善。
人手の過不足
【資金繰りの状況】窮屈感が後退し、余裕間がやや高まる
資金繰りの状況
【設備の過不足】前回調査とほぼ同様だが、建設業、サービス業で余裕感が、流通商業で不足感が高まる。
設備の過不足
4.経営上の問題点、次期の経営上の力点
経営上の問題点:「仕入単価の上昇」(38.2%)、「民間需要の停滞」(33.0%)、「同業者間の価格競争の激化」(31.1%)が上位3項目。「民間需要の停滞」の回答割合が大きく低下していることのほか、「人件費の増加」、「管理費等間接経費の増加」の回答割合が上昇していることが注目すべき点である。
経営上の問題点
経営上の力点:「付加価値の増大」、「社員教育」の割合が高まる。
経営上の力点


経営上の努力・コメント一覧

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