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第4号 2015年1〜3月期 北海道同友会 景況調査報告
第4号
北海道中小企業家同友会景況調査報告
(2015年1〜3月期)
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文責:大貝健二
札幌市豊平区旭町4-1-40北海学園大学経済学部内
TEL:011-841-1161
依然として漂う景気低迷感
一方で次期見通しに明るい兆し、業況改善に向けた着実な一歩を!!
 北海道中小企業家同友会2015年第T期(1〜3月)の業況判断DI(前年同期比)は前期調査の▲20.7から▲19.8へほぼ横ばいの推移となった。依然として景況感が低迷している状況である。しかし、前期(2014年第W期)調査における次期見通しは▲31.0であったことから、前期・今期が景気後退局面のボトムの可能性がある。次期(4-6月期)の見通しは、9.2ポイントの改善(▲19.8→▲10.6)となっている。景況感が改善するとの見方が出てきているが、今後景況感が上向くか、より悪化するかは、次期の調査結果で明らかになると思われる。
 業種別業況判断DIでは、前回調査で改善を示した流通商業が16.4ポイントの大幅な悪化を示し▲28.9へと沈み込んだ。他では、建設業で21.4ポイントの大幅な改善を示し、製造業は▲26.1→▲22.4、サービス業は▲6.4→▲2.4とやや改善した。次期見通しは、建設業▲16.3、製造業▲22.4、流通商業▲7.2、サービス業▲2.4とサービス業を除いて、改善の見通しとなっている。
 今期は、全体として停滞感が漂いながらも、景況感の回復を期待できる指標がいくつかある。例えば、仕入単価DIが低下し、販売単価DIとのギャップがわずかではあるが解消されてきていること、1人当たり売上高DIがマイナス推移ではあるものの上昇していること等である。仕入単価と販売単価のギャップが縮小し、また1人当たり売上高DIが好転を続け、それに1人当たり付加価値DIも好転すれば、景気後退局面からの脱出が現実味を帯びてくるだろう。
 経営上の問題点では、「同業者間の価格競争の激化」が急上昇したほか、「民間需要の停滞」の高止まり、「官公需要の停滞」の上昇がみられる。「仕入単価の上昇」は、回答割合は依然として高いものの1年間継続して低下を続けている。需要停滞と競争激化といった景気後退局面に典型的な回答である。これらの面からも、次期の調査結果が景況感の向けたターニングポイントになるであろう。

≪景況調査について≫
○ 景況調査は、回答者の意識・マインドを基に景気動向を分析する調査です。
○ 特に、同友会が実施する景況調査は、経営者の意識を反映するものであるため、景気動向がはっきりと表れやすいと言われています。
○ 景況動向、および「次期見通し」を自社の経営指針等の見直し等に活用してください。

≪DI値について≫
○ DI 値は、「良い」と回答した割合(%)から「悪い」と回答した割合(%)を引いた数値
○ 「良い」と回答した企業が多ければ多いほどDI は高水準で推移するが、その逆もしかり。
○ 景況調査では、(1)DI 値の水準(プラスかマイナスか、また水準はどの程度か) 、 (2)前回調 査からの好転幅、悪化幅の大きさを主に見ていきます。
○ DI値の変化幅について、
@1ポイント以内の場合:「ほぼ横ばい」と表現します。
A1〜5ポイントの場合:「やや」という言葉が、好転・悪化の前に付きます。
B10ポイント以上の場合:「大幅な」という言葉が、好転・悪化の前に付きます。

1. 業況判断DI(前年同期比)はほぼ横ばい推移:▲20.7から▲19.8へ(0.9Ptの改善)
※4期連続の悪化は免れる、次期見通しは9.2ポイントの改善
業況判断DIの推移
1-2.業種別業況判断
建設業:21.4Ptの大幅な改善(▲40.0→▲18.6)、製造業:3.7Ptとやや改善(▲26.1→▲22.4)
流通商業:16.4Ptの大幅な悪化(▲12.5→▲28.9)、サービス業:やや改善(▲6.4→▲2.4)
次期見通し:サービス業を除いて改善見通しだが、改善見通し幅が大きいのは、流通・商業のみ
→次期見通しDI(建設業:▲16.3、製造業:▲20.5、流通商業:▲7.2、サービス業:▲2.4)
業種別業況判断
1-3.規模別業況判断
20人未満:2.7Ptのやや改善(▲25.0→▲22.3)、20〜50人:6.4Ptの改善(▲21.4→▲15.0)
50〜100人:9.7Ptの改善(▲27.0→▲17.2)、100人以上:8.0Ptの悪化(▲12.0→▲20.0)
次期見通し:全規模層で改善見通し、特に50人以上規模層で大幅な改善見通し
→次期見通しDI(20人未満:▲18.8、20〜50人:▲6.9、50〜100人:±0、100人以上:▲10.0)
規模別業況判断
2.売上高DI、採算DI、採算水準、業況水準(前年同期比)
【売上高】全体:6.8Ptの改善(▲17.7→▲10.9)(次期:6.7Ptの改善(▲10.9→▲4.2)
【採 算】全体:6.7Ptの改善(▲21.5→▲14.8)(次期:7.3Ptの改善見通し;▲14.8→▲7.5)
【採算水準】全体:20.9Ptの大幅悪化(37.2→16.3)
【業況水準】全体:7.3Ptの悪化(▲12.2→19.5)(次期:2.7Ptのやや改善;▲16.8)
売上高DI、採算DI、採算水準、業況水準
2-1.業種別売上高:製造業を除き改善、とりわけ建設業で大幅な改善を示す
建設業:32.6Ptの大幅改善(▲32.6→±0)、製造業:14.1Ptの大幅悪化(▲10.4→▲24.5)
流通商業:1.6Ptとやや改善(▲20.7→▲19.1)、サービス業:6.9Ptの改善(±0→6.9)
次期見通し:建設業を除いて改善見通し、なかでも製造業、流通商業で改善幅が大きい
→(建設業:▲23.7、製造業:±0、流通商業:▲4.8、サービス業:7.2)
業種別売上高
2-2.規模別売上高:改善の傾向がみられる。20人以上100人未満規模層で大幅な改善
20人未満:ほぼ横ばい(▲16.2→▲16.3)、20〜50人:12.7Ptの大幅改善(▲16.9→▲4.2)
50〜100人:20.4Ptの大幅改善(▲27.0→▲6.6)、100人以上:やや悪化(▲12.0→▲14.3)
次期見通し:20人以上50人未満規模層を除き改善見通し;特に50人以上100人未満層で顕著
→(20人未満:▲8.3、20〜50人:▲8.7、50〜100人:20.7、100人以上:▲9.6)
規模別売上高
2-3.業種別採算:全業種で改善、建設業で改善幅大。次期見通は建設業を除き、大幅な改善見通し
建設業:21.0Ptの大幅改善(▲35.6→▲14.6)、製造業:1.7Ptのやや改善(▲26.7→▲25.0)
流通商業:2.8Ptのやや改善(▲14.9→▲12.1)、サービス業:ほぼ横ばい(▲12.5→▲11.9)
次期見通し:(建設:▲29.5、製造:▲13.1、流通商業:▲2.5、サービス:5.0)
業種別採算
2-4.規模別採算: 20人未満を除いて大幅な改善;次期見通しでも改善傾向が続くか?
20人未満:ほぼ横ばい(▲22.4→▲23.1)、20〜50人:15.7Ptの大幅改善(▲22.7→▲7.0)
50〜100人:12.1の大幅改善(▲15.4→▲3.3)、100人以上:17.0Ptの大幅改善(▲32.0→▲15.0)
次期見通し:(20人未満:▲14.4、20〜50人:▲10.2、50〜100人:14.8、100人以上:▲10.0)
規模別採算
2-5.業種別採算水準:製造業と流通商業での大幅な悪化、とりわけ製造業で50.5Ptの悪化!!
建設業:ほぼ横ばい(21.9→21.0)、製造業:50.5Ptの大幅悪化(35.0→▲15.5)
流通商業:29.2Ptの大幅悪化(50.8→21.6)、サービス業:2.9Ptのやや改善(31.2→34.1)
業種別採算水準
2-6.規模別採算の水準: 20〜50人規模を除いて大幅な悪化(前回調査と真逆の動き)
20人未満:26.4Ptの大幅悪化(20.0→▲6.4)、20〜50人:8.6Ptの改善(33.8→42.4)
50〜100人:44.0Ptの大幅悪化(62.5→18.5)、100人以上:46.0Ptの大幅悪化(63.7→17.7)
規模別採算の水準
2-7.業種別業況水準:製造業、流通商業大幅悪化(前期の反動?)、建設業、サービス業で改善
建設業:6.2Ptの改善(▲15.3→▲9.1)、製造業:11.0の大幅悪化(▲17.0→▲28.0)
流通商業:17.9Ptの大幅悪化(▲2.5→▲20.4)、サービス業:3.9Ptのやや改善(▲25.8→▲21.9)
次期見通し:改善の兆しが見えるが、依然として低位推移である
→(建設:▲13.6、製造:▲28.0、流通商業:▲16.9、サービス:▲9.7)
業種別業況の水準
2-8.規模別業況水準:今期が景気後退のボトムか?100人以上規模層の悪化見通しに懸念
20人未満:ほぼ横ばい(▲30.8→▲30.1)、20〜50人:9.5Ptの悪化(1.3→▲8.2)
50〜100人:6.2Ptの改善(▲26.9→▲20.7)、100人以上:9.0Ptの悪化(4.0→▲5.0)
次期見通し:改善の兆しが見え始めるが依然として低位推移
→(20人未満:▲26.6、20〜50人:▲10.9、50〜100人:▲6.9、100人以上:▲15.0)
規模別業況水準
3.仕入・販売単価、1人当たり売上高、1人当たり付加価値額
3-1.
仕入単価DI:2014年第V期をピークに低下、特に今期は11.1Ptの大幅低下(37.2)
販売単価DI:仕入単価DIと同様に、2014年第U期をピークに低下、今期は8.8。
仕入単価DI、販売単価DIの推移
3-2.
1人当たり売上高:▲14.0(前回調査より5.0ポイント低下)
1人当たり付加価値額:▲18.0(前回調査より2.0ポイント低下)
商品単価DI、販売単価DIの推移
4.人手の過不足、資金繰りの状況、設備の過不足
【人手の過不足】前回調査と同様。「不足」が若干高まる。不足人員内訳は、正規従業員がトップ。
人手の過不足
【資金繰りの状況】窮屈感がやや高まる
資金繰りの状況
【設備の過不足】前回調査とほぼ横ばいだが、不足感が若干強まる
設備の過不足
4.経営上の問題点、次期の経営上の力点
経営上の問題点:以下に示す景気後退期に典型的的な回答項目の上昇
「需要の停滞」(民間需要・官公需要)の高止まり、「同業者間の価格競争の激化」の割合上昇
「従業員の不足」、「取引先の減少」を前年同期比で割合上昇
経営上の問題点
経営上の力点:「新規受注(顧客)の確保」、「情報力強化」の割合が高まる。「人材確保」、「社員教育」といった人材に関する項目も高割合維持。
経営上の力点


経営上の努力・コメント一覧

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