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第2号 2014年7〜9月期 北海道同友会 景況調査報告
第2号
北海道中小企業家同友会景況調査報告
(2014年7〜9月期)
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文責:大貝健二
札幌市豊平区旭町4-1-40北海学園大学経済学部内
TEL:011-841-1161
景気回復の兆しなく、3期連続の景況悪化
―八方塞がり、現状認識と打開策の共有を―
 北海道中小企業家同友会2014年第 2期(4〜6月)の業況判断DI(前年同期比)は前期調査 の▲9.4から▲18.8へと 9.8ポイントの悪化を示した。2013年第W期(10-12 月)調査をピーク に、3期連続の悪化である。また、今期調査における10-12月期の見通しは、▲19.8と今期とほ ぼ同水準で推移する見通しとなっており、低水準での停滞感が漂っている。アベノミクスによる円安への誘導、消費税増税に加え、電気料金の再値上げが決まり、中小企業経営にとっては八方ふさがりな様相すら呈してきている。この状況をどのように打開するのか、現状と向き合うこと が必要になろう。
 業種別業況判断DI では、サービス業で大幅な改善(▲26.3→▲3.3)を示したものの水面下で の推移となった。また、その他はいずれも悪化した。特に製造業で 25.5 ポイント、流通商業で 14.5ポイントと大幅な悪化を示すことになった。次期見通しに関しては、今期改善を示したサー ビス業で大幅な悪化、製造業でさらなる悪化見通しとなっている。流通商業は改善する見通しであるが、依然として水面下での推移であり、全体として改善の力が弱く停滞感が強いと判断せざ るを得ない。
 さらに、今期の景況調査において、注視しなければならない点を上げておく。「資金繰りの状 況」で全体的に窮屈感が高まっているが、従業員規模別に見ると、「20 人未満」規模層で、大幅 に資金繰りが悪化している。この不況局面は小規模企業層の経営体力を奪いかねないものとなっ ている。
 経営上の課題については、「仕入単価の上昇」が最も割合が高く、次いで「民間需要の停滞」、さらに「従業員の不足」、「管理費等間接経費の増加」が続いている。「我慢の限界です」(札幌・製造業)という切実な言葉も出始めている。この不況局面は、単なる不況ではなく、様々な要因が絡み合っているのであり、状況を打開するためにも知恵を出し合うことが必要になるだろう。

≪景況調査について≫
○ 景況調査は、回答者の意識・マインドを基に景気動向を分析する調査です。
○ 特に、同友会が実施する景況調査は、経営者の意識を反映するものであるため、景気動向がはっ きりと表れやすいと言われています。
○ 景況動向、および「次期見通し」を自社の経営指針等の見直し等に活用してください。

≪DI値について≫
○ DI 値は、「良い」と回答した割合(%)から「悪い」と回答した割合(%)を引いた数値
○ 「良い」と回答した企業が多ければ多いほどDI は高水準で推移するが、その逆もしかり。
○ 景況調査では、(1)DI 値の水準(プラスかマイナスか、また水準はどの程度か) 、 (2)前回調 査からの好転幅、悪化幅の大きさを主に見ていきます。
○ DI値の変化幅について、
@1ポイント以内の場合:「ほぼ横ばい」と表現します。
A1〜5ポイントの場合:「やや」という言葉が、好転・悪化の前に付きます。
B10ポイント以上の場合:「大幅な」という言葉が、好転・悪化の前に付きます。

1. 業況判断DI(前年同期比)が-9.4から-18.8へ(9.4Ptの悪化)、3期連続の悪化
※前回調査の次期見通しとほぼ同水準(前回の次期見通しは-19.8)
※次期見通しが示す停滞感、不況局面は長期化する可能性
業況判断DIの推移
1-2.業種別業況判断
建設業:5.1Ptの悪化(▲10.9→▲16.0)、製造業:25.5Ptもの大幅な悪化(0→▲25.5)
流通商業:14.5Ptの大幅悪化(▲7.3→▲21.8)、サービス業:23.0Ptの大幅改善(▲26.3→▲3.3)
次期見通し:製造業、サービス業で悪化見通し、流通商業で改善、建設業は停滞(水面下推移)
業種別業況判断
1-3.規模別業況判断: 「100 人以上」規模を除き悪化、企業規模間でのギャップが現れる?
20人未満:16.2Pt の大幅悪化(▲13→▲29.2)、 20〜50 人:9.2Ptの悪化(▲9→▲18.2)
50〜100人:13.5Ptの大幅悪化(2.8→▲10.7)、 100 人以上:16.7Ptの大幅改善(▲16.7→0)
次期見通し:20 人以上50 人未満規模層で改善見通し、それ以外では停滞状況(但し水面下)
規模別業況判断
2.売上高DI、採算 DI、採算水準、業況水準(前年同期比)
【売上高】全体:8.3Ptの悪化(▲3.4→▲11.7)(次期:3.3Ptの改善、▲11.7→▲8.4)
【採 算】全体:5.4Ptの悪化(▲16.6→▲22.0)(次期:5.8Ptの改善だが、弱い。▲22.0→▲16.2)
【採算水準】全体:8.8Ptの改善(24.0→32.8);パターンで行けば、次期も改善するかどうかが鍵
【業況水準】全体:▲12.0から▲16.1へ悪化
売上高DI、採算DI、採算水準、業況水準
2-1.業種別売上高:サービス業を除き悪化、建設業、製造業の2期連続大幅悪化が懸念材
建設業:13.2Ptの大幅悪化(0.0→▲13.2)、製造業:21.3Ptの大幅悪化(▲9.5→▲30.8)
流通商業:5.7Ptの悪化(▲2.2→▲7.9)、サービス業:16.0Ptの大幅改善(▲2.6→13.4)
次期見通し:改善の兆しも見えるが、全体としては水面下での推移であり、弱い。
業種別売上高
2-2.規模別売上高:100 人以上規模のみ改善、他規模は軒並み悪化、水面下での推移となる
20 人未満:5.7Ptの悪化(▲7.8→▲13.5)、 20〜50人:11.4Ptの大幅悪化(▲1.2→▲12.6)
50〜100人:24.5Ptの大幅悪化(11.1→▲13.4)、 100人以上:12.3Ptの大幅改善(▲8.3→4.0)
次期見通し:全規模で改善見通しだが、50 人以上規模で水面上へ、50 人未満は水面下での推移
規模別売上高
2-3.業種別採算:サービス業を除いて悪化、特に製造業で大幅な悪化
建設業:7.6Ptの悪化(▲17.0→▲24.6)、製造業:31.9Ptの大幅な悪化(▲13.2→▲45.1)
流通商業:3.5Ptとやや悪化(▲13.7→▲17.2)、サービス業:39.7Ptの大幅改善(▲28.6→11.1)
次期見通し:サービス業を除いて改善の見通しだが、動きは弱く水面下での推移となっている
業種別採算
2-4.規模別採算:規模層によって動向が異なるが、いずれも水面下推移である。
20人未満:6.5Ptの改善(▲30.8→▲24.3)、20〜50 人:15.07Ptの大幅悪化(▲7.1→▲22.1)
50〜100人:17.1Ptの大幅悪化(2.8→▲14.3)、100人以上:14.8Ptの大幅改善(▲34.8→▲20.0)
次期見通し:全規模で改善の見通しであるが、その幅は小さく水面下推移である。
規模別採算
2-5.業種別採算水準:建設業、流通・商業の大幅改善が目立つ
建設業:24.1Ptの大幅改善(4.9→29.0)、製造業:ほぼ横ばい(18.0→17.1)
流通商業:11.4Ptの大幅改善(34.1→45.5)、サービス業:ほぼ横ばい(29.5→29.6)
業種別採算水準
2-6.規模別採算の水準:規模層によって動向が異なる
20人未満:11.0Ptの大幅な悪化(25.3→14.3)、20〜50 人:20.5Ptの大幅改善(15.6→36.1)
50〜100人:16.8Ptの大幅改善(29.4→46.2)、100 人以上:9.6Ptの悪化(63.7→54.1)
規模別採算の水準
2-7.業種別業況水準:サービス業を除いて軒並み悪化、全業種で水面下推移
建設業:13.9Ptの大幅悪化(▲12.0→▲16.1)、製造業:12.5Ptの大幅悪化(▲13.0→▲25.5)
流通商業:5.7Ptの悪化(▲12→▲17.2)、サービス業:26.4Ptの大幅改善(▲30.0→▲3.3) s
次期見通し:流通商業のみ改善の見通しだが、全体的には停滞、水面下での推移
業種別業況の水準
2-8.規模別業況水準:動向は異なるが、100 未満規模は水面下推移
20 人未満:10.5Ptの大幅悪化(▲18.2→▲28.7)、20〜50人:1.7Ptのやや改善(▲16.0→▲14.3)
50〜100人:3.7Ptのやや悪化(0.1→▲3.6)、 100人以上:7.8Ptの改善(4.2→12.0)
次期見通し:100以上規模で改善見通し、それ以外は水面下で推移、改善の兆しは見えてこない
規模別業況水準
3.人手の過不足、資金繰りの状況、設備の過不足
【人手の過不足】依然として不足感が40%を上回る状況が続いている
人手の過不足

【資金繰りの状況】余裕感の後退、窮屈感が高まりを見せてきている
資金繰りの状況

【設備の過不足】適正感がやや増加、不足感もやや後退
設備の過不足
4.経営上の問題点、次期の経営上の力点
不況局面の動向(需要停滞、価格競争の激化)に加え、「仕入れ単価の上昇」、「間接経費の増加」、 「人件費の増加」、「税負担の増加」などが目立つ。
→2014年第T期から続いている川上インフレの継続:ボディブロー、どこまで耐えられるのか?
経営上の問題点
経営上の力点:「人件費以外の経費節減」の急上昇が目立つ

次期の経営上の力点
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