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第1号 2014年4〜6月期 北海道同友会 景況調査報告
第1号
北海道中小企業家同友会景況調査報告
(2014年4〜6月期)
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文責:大貝健二
札幌市豊平区旭町4-1-40北海学園大学経済学部内
TEL:011-841-1161
業況指数マイナスに転落
―増税の反動大きく、低迷長期化が懸念―
 北海道中小企業家同友会2014年第2期(4〜6月)の業況判断DI(前年同期比)は前期調査の14.4から▲9.4へと23.8ポイントもの大幅な悪化を示した。20ポイント以上の悪化は、2007年のサブプライムローンバブルの崩壊時期を上回る悪化幅である(当時は17.2ポイントの悪化)。さらに、前回調査の次期見通しを上回る悪化を示した指標も散見され、景気の悪化を深刻に捉えているマインドが感じられる。次期見通しは▲5.1であり、今回の景気後退は長期化する可能性がある。
 業種別業況判断DIでは、全業種で悪化した。なかでも、建設業は17.6ポイント(6.7→▲10.9)、流通・商業は39.7ポイント(32.4→▲7.3)、サービス業は19.2ポイント(▲7.1→▲26.3)と大幅な悪化を示した。次期は、建設業と製造業でさらに悪化する見通しである。流通商業では水面上へ浮上する見通しであるが、全体としては改善の力は弱い。
 業況判断の悪化要因をみてみよう。まず、「採算が悪化した理由」で、「売上数量・客数の減少」の回答割合が10ポイント以上上昇しており、増税の反動が強いことが1つ目の要因である。第2に、「経営上の問題点」では、「仕入単価の上昇」が最も割合が高く、「同業者間の価格競争の激化」、「民間需要の停滞」が続き、不況時に典型的な回答が並び始めている。川上インフレ、消費増税の反動による二重苦、さらに電気料金の高止まりを加えた三重苦の状況が生まれている。
 今期の調査は、ほぼすべての指標(業況判断、売上高、採算、業況水準)で大幅な悪化を示した。7月以降、景気は上向くという楽観的観測が根強くあるが、そうは思わない方がよいだろう。北海道では、実感がないままに景気拡大マインドが膨張し、実体経済との乖離が進んだ可能性がある。経営指針の見直し等、地に足つけた経営を行うことは当然であるが、この間の景気拡大局面が本物だったのか否か、検証する必要があるだろう。

≪景況調査について≫
○ 景況調査は、回答者の意識・マインドを基に景気動向を分析する調査です。
○ 特に、同友会が実施する景況調査は、経営者の意識を反映するものであるため、景気動向がはっきりと表れやすいと言われています。
○ 景況動向、および「次期見通し」を自社の経営指針等の見直し等に活用してください。

≪DI値について≫
○ DI値は、「良い」と回答した割合(%)から「悪い」と回答した割合(%)を引いた数値
○ 「良い」と回答した企業が多ければ多いほどDIは高水準で推移するが、その逆もしかり。
○ 景況調査では、(1)DI値の水準(プラスかマイナスか、また水準はどの程度か)、(2)前回調査からの好転幅、悪化幅の大きさを主に見ていきます。
○ DI値の変化幅について、
@1ポイント以内の場合:「ほぼ横ばい」と表現します。
A1〜5ポイントの場合:「やや」という言葉が、好転・悪化の前に付きます。
B10ポイント以上の場合:「大幅な」という言葉が、好転・悪化の前に付きます。

1. 業況判断DI(前年同期比)が14.4から-9.4へ、23.8Ptの大幅悪化
※前回調査の次期見通しよりも水準は下(前回の次期見通しは-21)、予想を上回る悪化!!
※20ポイント以上の悪化は2006年以降では経験がない、リーマンショック期で17.2Ptの悪化
業況判断DIの推移
1-2.業種別業況判断
建設業:17.6Ptの大幅な悪化(6.7→▲10.9)、製造業:7.0Ptの悪化(7.0→0)
流通商業:39.7Ptの大幅悪化(32.4→▲7.3)、サービス業:19.2Ptの大幅悪化(▲7.1→▲26.3)
次期見通し:建設業、製造業でさらに悪化する見通し(水面下見通しが目立つ)
業種別業況判断
1-3.規模別業況判断
20人未満:19.4Ptの大幅悪化(6.4→▲13)、20〜50人:22.1Ptの大幅悪化(13.1→▲9)
50〜100人:12.0Ptの大幅悪化(14.8→2.8)、100人以上:43.0Ptの大幅悪化(26.3→▲16.7)
次期見通し:50人以上100人未満規模層で大幅悪化見通し、それ以外では改善(但し水面下)
規模別業況判断
2.売上高DI、採算DI、採算水準、業況水準(前年同期比)
【売上高】全体:34.7Ptの大幅悪化(32.3→▲3.4)(次期:6.1Ptの改善、▲3.4→2.7)
【採 算】全体:30.5Ptの大幅な悪化(13.9→▲16.6)(次期:改善、13.9→▲11.1)
【採算水準】全体:2.6Ptとやや改善(21.4→24.0)前期の悪化は周期的なもの、改善幅が小さい
【業況水準】全体:9.6から▲12.0へ11.2Ptの大幅な悪化
売上高DI、採算DI、採算水準、業況水準
2-1. 業種別売上高:全業種で大幅悪化、製造業、流通商業では40Pt以上の大幅な悪化
建設業:17.0Ptの大幅悪化(17.0→0.0)、製造業:42.1Ptの大幅悪化(32.6→▲9.5)
流通商業:47.4Ptの大幅悪化(45.2→▲9.5)、サービス業:25.0Ptの大幅悪化(24.2→▲2.6)
次期見通し:建設業以外で改善見通し
業種別売上高
2-2. 規模別売上高:全規模層で大幅な悪化、「50人以上100人未満」規模を除いて水面下へ
20人未満:36Ptの大幅悪化(28.2→▲7.8)、20〜50人:27.4Ptの大幅悪化(26.2→▲1.2)
50〜100人:12.3Ptの大幅悪化(23.4→11.1)、100人以上:61.0Ptの大幅悪化(52.7→▲8.3)
次期見通し:50人以上100人未満規模で大幅な悪化見通し、それ以外では改善見通し
規模別売上高
2-3.業種別採算:全業種で大幅な悪化(次期:製造業を除いて改善)
建設業:23.5Ptの大幅な悪化(6.5→▲17.0)、製造業:18.2Ptの大幅な悪化(5.0→▲13.2)
流通商業:40.2Ptの大幅悪化(26.5→▲13.7)、サービス業:36.0Ptの大幅悪化(7.4→▲28.6)
次期見通し:製造業を除いて改善する大幅な悪化見通し(製造業は悪化見通し)
業種別採算
2-4.規模別採算:全規模層において(大幅な)悪化
20人未満:36.0Ptの大幅悪化(5.2→▲30.8)、20〜50人:20.7Ptの大幅悪化(13.6→▲7.1)
50〜100人:7.6Ptの悪化(10.4→2.8)、100人以上:61.1Ptの大幅悪化(26.3→▲34.8)
次期見通し:50人以上100人未満規模において大幅な悪化、それ以外は改善見通し
規模別採算
2-5.業種別採算の水準:建設業の悪化、製造業の改善が目立つ
建設業:34.4Ptの大幅悪化(39.3→4.9)、製造業:35.2Ptの大幅改善(▲17.2→18.0)
流通商業:ほぼ横ばい(33.8→34.1)、サービス業:8.5Ptの改善(21.0→29.5)
業種別採算の水準
2-6.規模別採算の水準:20人以上50人未満規模で悪化、その他は改善
20人未満:25.3Ptの大幅改善(0.0→25.3)、20〜50人:15.0Ptの大幅改善(30.6→15.6)
50〜100人:15.1Ptの大幅改善(14.3→29.4)、100人以上:11.5Ptの大幅改善(57.2→63.7)
規模別採算の水準
2-7.業種別業況の水準:建設業を除いて10Pt以上の大幅悪化、建設業は悪化
建設業:21.6Ptの大幅悪化(9.0→▲12)、製造業:3.6Ptのやや悪化(▲9.4→▲13.0)
流通商業:30.3Ptの大幅な悪化(18.3→▲12)、サービス業:47.9Ptの大幅悪化(17.9→▲30)
次期見通し:全業種で改善、但し建設業を除いて水面下での推移
業種別業況の水準
2-8.規模別業況水準:全規模層で大幅な悪化
20人未満:18.2Ptの大幅悪化(0.0→▲18.2)、20〜50人:24.4Ptの大幅悪化(8.4→▲16.0)
50〜100人:11.0Ptの大幅悪化(11.1→0.1)、100人以上:27.3Ptの大幅悪化(31.5→4.2)
次期見通し:50人以上100人未満規模で大幅な悪化、それ以外で改善見通し
規模別業況水準
3.人手の過不足、資金繰りの状況、設備の過不足
【人手の過不足】不足感が前回より4.4Pt低下し42.5%、過剰感は8.6Ptほぼ横ばい
人手の過不足

【資金繰りの状況】窮屈感、余裕感ともに微増
資金繰りの状況

【設備の過不足】適正感が7割で推移、不足感もやや後退
設備の過不足
4.経営上の問題点、次期の経営上の力点
経営上の問題点:トップ5は、「仕入単価の上昇」(38.7%)、「同業者間の価格競争の激化」(35.7%)、「民間需要の停滞」(32.2%)、「従業員の不足」(25.7%)、「人件費の増加」(25.7%)
※仕入れ単価の高止まりに需要の停滞が追い打ちをかける、川上インフレ状況下での不況局面
経営上の問題点

次期の経営上の力点
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