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経営体質の強化と新市場・新事業開拓で活路を 調査データ・資料
業況は大幅悪化の恐れ、経営体質の強化と新市場・新事業開拓で活路を〜北海道地域景況調査結果(09年10〜12月期)概要と対応〜
 北海道中小企業家同友会の北海道地域景況調査結果(09年10〜12月期)が、このほどまとまりました(12月5日〜10日回答分)。

業況判断DIは、昨年同期比2.5ポイント改善、来期は大幅悪化を予想

 業況判断DI(「好転の割合」―「悪化の割合」)全業種合計は、前年同期比マイナス29.3と前期(09年7〜9月期)のマイナス31.8より、2.5ポイント改善しました(図参照)。
 また、5期連続北海道が全国より良くなっていますが、その差は前期より縮小しています。10年1月〜3月期見通し(本紙4面第1表)では、北海道がマイナス40.1と10.8ポイントも悪化、一方全国はマイナス37.4と7.5ポイント改善し、逆転する見込みです。
 しかも、昨年10月〜12月の北海道の業況判断DI値が、過去最悪であったことを考えると、今後の景況はかなり厳しいものになると予想されます。なお、今回の調査の主なデータは本紙4面に掲載。

業種別では「建設業」のみ好転

 業況判断DIを業種別に見ると、建設業が前期より17.9ポイント好転、一方製造業1.2ポイント悪化、流通・商業4.1ポイント悪化、サービス業2.2ポイント悪化と他のすべての業種が悪化しています。これは、建設業の業況が改善していることを示すものではなく、比較対象の前年同期がマイナス48.8と極めて悪かったことや、政府の景気対策による一時的なものと思われます。実際、来期見通しでは、建設業がマイナス48.8と33.4ポイントも悪化すると予想しています。

価格競争が激化

 全業種合計の売上高DI(「増加の割合」―「減少の割合」)は、今期(09年10〜12月期)がマイナス32.0と前期より8.2ポイント改善、一方経常利益DIも8.6ポイント改善しています(第2表第3表参照)。ただ、売上高DIが、流通・商業のみが前期より3.6ポイント悪化しているのは、個人消費の不振を反映したものでしょう。
 さらに、全業種合計仕入単価DI(「上昇の割合」―「下降の割合」)と販売単価DI(「上昇の割合」―「下降の割合」)は、共に前期より下がっており、価格競争の激化が伺われます。
 資金繰りDI(第4表参照)では、製造業のみ前期より16.2ポイントも悪化しており、気にかかります。

経費節減と人材育成に努め、新分野・新規事業を開拓

 一層厳しくなる経営環境のもとで、会員企業はすべての経費を見直し、人材を育て、新分野・新規事業に挑戦して活路を見出そうとしています。
 第1に、経費を全面的に見直し、経営理念の浸透と人材育成に努めて経営体質の強化をはかることです。「不採算部門の見直し、収益性を重視」(運輸業)「原価低減、付加価値増を社員と共に知恵を絞って追求」(家具製造業)「基本的な考え(理念)の徹底をはかる」(食肉卸売業)など、あらゆる経費の見直しと人材の育成で経営体質の強化をはかるとの記述が目立ちました。
 第2に、環境・福祉関連分野など、今後成長が見込まれる市場の開拓に取組むことです。「高齢者住居問題を解決するための事業を強力に進め、少しずつ業績があがっている」(建設業)「現在手がけている環境福祉関連事業を軌道にのせる」(OA・IT機器販売)などです。
 第3に、本業を核としながら、新規事業に挑戦することです。「本業につながる新規事業を別会社で立ち上げる準備を進めている」(土木建設業)「本業を核としつつ、幅を広げていくための新たな事業の情報収集。来春を目途に新部門の設立を行う予定」(木造建築工事業)「比較的堅調な農水産業向け需要へ重点を移し、一定の成果をあげた」(スチール成型加工業)など、難局に積極的に対応する姿勢も伺われます。

〈調査要領〉
調査時点 中小企業家同友会全国協議会が2009年の12月5日〜10日に実施した景況調査に合わせておこなった。
調査対象と回答企業 全国では2,433社から927社の回答、北海道は地域・業種を勘案して抽出した600社の会員企業から175社の回答を得た。
平均従業員数(役員含む・パートを除く) 全国40.4人 全道47.2人
※DI値は特に断りのない限り前年同期比。▲はマイナスを示す。
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