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「価格競争の激化」に対応した経営戦略の見直しを 調査データ・資料
「価格競争の激化」に対応した経営戦略の見直しを〜北海道地域景況調査結果(09年1〜3月期)の概要と対応〜
 北海道中小企業家同友会の北海道地域景況調査結果(09年1〜3月期)が、このほどまとまりました(3月5日〜10日回答分)。
業況判断DIは、2期連続全国が北海道を下回る

 業況判断DI(「好転の割合」―「悪化の割合」)全業種合計は、前年同期比マイナス44.9と前期(08年10〜12月期)のマイナス45.5とほぼ同水準です(図参照)。09年4月〜6月期見通し(本紙4面第1表)も、マイナス45.6とあまり変わりません。
 ただ、2期連続全国が北海道より悪く、しかも、全国の前期はマイナス48.7、今期マイナス59.0、来期見通し61.5と落ち込みが激しく注目されます。
 なお、今回の調査の主なデータは本紙4面に掲載。

建設業、製造業の悪化が目立つ〜流通・商業、サービス業は前期より好転〜

 業況判断DIは、建設業が前期より10.1ポイント悪化のマイナス58.9、製造業はマイナス50.8と16.8ポイントも悪化しています。
 反面、流通・商業が前期より7.5ポイント、サービス業は28.5ポイントも好転しています。これは、昨年の同時期に石油、原材料が高騰し、消費者が節約志向を強めたことの反動だと思われます。
 しかし、業況判断DIの09年4月〜6月期見通しでは、流通・商業がマイナス48.1と10.6ポイントも悪化しており、戦後最悪の不況により個人消費も冷え込むと厳しくみています。

仕入単価の下降により「経常利益」は改善の兆し

  全業種合計の売上高DI(「増加の割合」―「減少の割合」)は、今期(09年1〜3月期)がマイナス40.5と前期より9ポイント悪化、逆に経常利益DIは1.5ポイント改善しています(第2表第3表参照)。
 さらに、全業種合計仕入単価DI(「上昇の割合」―「下降の割合」)は、今期が前期より46.3ポイントの減少、販売単価DI(「上昇の割合」―「下降の割合」)も、前期より18.8ポイントの減少ですが、販売単価より仕入単価のDI値の下降が大きくなっています(第5表参照)。今後、「価格競争」がますます激化するものと予想されます。

経営体質を強化し、新規開拓・新分野へ挑戦

 かつてない厳しい経営環境への対応では、会員企業の積極的な取り組みが伺われます。
 第1に、経営効率を上げ、財務体質を強化し、新規開拓や新分野に挑戦することです。
 「資産の整理統合により財務体質を強化し、新規事業の展開や研究開発に積極的に取り組みたい」(建設コンサルタント)「流通期間の短縮や在庫の圧縮をはかり、新規顧客の開拓と休眠客の掘り起こしを強化したい」(精密機械販売)など積極的な声が多くよせられています。
 第2に、選択と集中で自社の強みを強化し、生き残る経営を目指すことです。
 「選択と集中、勝つ経営よりも負けない経営を追求する」(レストラン業)「不採算部門の統廃合など合理化を進め、収益の高い部門に人的な資源を集中させる」(自動車整備業)などの記述が目立ちました。
 第3に、すべての面で見直しをはかり、経営環境の変化に積極的に対応することです。
 「今年度のスローガンは『変化に挑戦』。すべての面で見直しをはかり、お互いに結束してお客様のための商いをする」(メガネ販売業)「商品加工ラインの取捨選択を行い、作業効率を向上させ、あわせて運転資金の削減、経営の効率化をはかった」(鉄工業)など、経営環境の変化に前向きに対応し、企業体質の改善をはかる試みも特徴的でした。
 第4表の資金繰りDI(「余裕の割合」―「窮屈の割合」)は、前期より4.5ポイント改善しています。

〈調査要領〉
調査時点 中小企業家同友会全国協議会が2009年の3月5日〜10日に実施した景況調査に合わせておこなった。
調査対象と回答企業 全国では2,434社から1,077社の回答、北海道は地域・業種を勘案して抽出した600社の会員企業から214社の回答を得た。
平均従業員数(役員含む・パートを除く) 全国37.8人 全道43.0人
※DI値は特に断りのない限り前年同期比。▲はマイナスを示す。

※参考

○DOR業況判断DIの推移(全業種、前年同期比)
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