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悪化基調がさらに深まる傾向を示す 調査データ・資料
悪化基調がさらに深まる傾向を示す〜北海道地域景況調査(2007年7〜9月期)概要と経営上の力点〜
1.業況判断DI、売上高DIともに再び悪化に転じる〜とりわけ、厳しい建設業とサービス業〜

 2007年7〜9月期は、第1表の業況判断DI((「好転の割合」−「悪化の割合」)の北海道全業種合計が4〜6月期の好転から一転、▲18.3と1.7ポイント悪化、次期見通しでは▲24.5と更に悪化する見通しです。とりわけ、建設業は6.9ポイント、サービス業は14.4ポイントも悪化するなど、北海道の2大業種はかなり厳しい結果となりました。第2表の売上高DI((「増加の割合」−「減少の割合」)を見ても、今期は全業種合計で▲22.0と前期より7.4ポイント悪化しています。特に建設業は▲52.3と29.1ポイントも悪化し、第3表の経常利益DI(「増加の割合」−「減少の割合」)も▲59.5となるなど、落ち込みが著しくなっています。
 回答いただいた建設業の方々の中で、建築に関わる企業が多くありました(40社)。この40社に今期の新規契約工事量についてお聞きしたところ、21社が前年同期比と比べて「減少した」と回答しています。次期の工事量についても、回答24社中16社が「減少する」と答えています。6月20日の建築基準法改正による受注の遅れや建築確認申請審査の長期化などによる影響と思われ、厳しい建築業界の更なる下げ圧力となっていかないか心配です。
 第4表の(1)仕入単価DI(「上昇の割合」−「下降の割合」)が、全業種合計はほぼ横ばいなのに対し、(2)販売単価DI(「上昇の割合」−「下降の割合」)の全業種合計は▲18.0と依然薄利を強いられています。
 第5表の(1)人手の過不足DI(「過剰の割合」−「不足の割合」)では、全業種合計が10.7悪化して▲6.5となり、全業種に渡って不足感が強まっています。

2.コスト削減にいっそう努力しつつも、明確な方針で新たな一手を〜「経営上の力点」のコメントから〜

 「まだまだ北海道は景気がよくなるとは思われませんので、心を引き締めじっと我慢(経費節減その他)です。頑張ります」。このコメントが現状と今後の見通しを物語っています。
 次期の見通し(10〜12月期)は、業況判断DIは▲24.5と悪化の割合はますます強まる予想です。
 今期は仕入単価の上昇は見られませんでしたが、今後の見通しでは210社中101社が仕入単価は上昇すると回答(原油価格が大幅に上昇しているからと思われる)。しかし、販売単価については「上昇する」との回答は23社、逆に「下落する」が49社と更に厳しい単価確保となりそうです。
 その対応として、回答いただいたコメントには、
・「海外事情の変化による価格の高騰を、国内価格へ転嫁出来にくくなっており、コストの削減を細かくチェック」(道央・身の回り品卸売)
・「燃料費節約のための仕入交渉」(道東・運輸業)
・「社有車の売却」(道央・機械販売修理)
などがあり、あらゆる経費の削減に取り組まれています。
 『経営上の努力』について、お寄せいただいた声には、
・「人口減、総需要減に備え、商品の地域外拡販、海外拡販へトライしようと思う」(道南・建築資材卸)
・「流通卸売業は厳しい経営状況ですので、製造加工販売に方向を変えております。また、取扱金額が小さくとも独自性の商品の取扱に重点を置いています。地域密着体制でお客様の対応に全力をあげています」(道央・包装資材卸)
 等があり、自社の方向性を明確にし、新たな一手を打ち始めていることが伺えました。

〈調査要領〉
調査時点 中小企業家同友会全国協議会が2007年の9月5日〜15日に実施した景況調査に合わせておこなった。
調査対象と回答企業 全国では2,372社から931社の回答、北海道は地域・業種を勘案して抽出した600社の会員企業から210社の回答を得た。
平均従業員数(役員含む・パートを除く) 全国41.1人 全道43.1人
※DI値は特に断りのない限り前年同期比。▲はマイナスを示す。

〈経営者の生の声〉
(1)〈道央・建築業〉
企画重視に変わってきたお客様の要望、マナーも重視
 官庁工事が大幅にダウン。社員も半分になった。反面、5年ほど前からリフォームの依頼が増え、工事単価も年々増えてきている。特に新築したお客様へはこまめな定期訪問、DMやチラシをお送りし、メンテナンスのお客様としての囲い込みを意識している。
 最近は、お客様が価格重視から企画重視へと変わってきた。思ったとおりのデザインや間取りの家ができるかどうかが重要視されるので、当社では各分野の専門家と連携してプランニングするようになった。また、工事に関して、特別な機能・工法の要望はなく、挨拶や服装など作業に関わる人のマナーがしっかりと見られている。協力業者にもお願いして、全体のレベルアップを図っている。

(2)〈道央・スポーツ用品小売業〉
顧客ニーズの変化をとらえ、新しい事にチャレンジ
 アウトドア関連用品全体のパイは縮小、大手に集約され企業数は減少している。しかし当社は、3〜8月の半期で対前年比売上高、経常利益とも若干増えた。暖かく好天に恵まれたこともあったが、「新しい事にチャレンジ」をモットーに、価格競争に走らず高級品に的を絞り、顧客ニーズの変化に合わせて、扱う商品の幅を広げてきた効果も出ている。
 例えば、若者の間で売れていた安いキャンプ用品は売れなくなったが、中高年の需要は着実に増えており、高い物が売れている。ゲレンデスキー客は減ったが、それに飽き足りないベテランは山スキーにシフトし、当社の山スキー関連用品は売れている。今後、需要増が見込まれる団塊の世代への対応をしっかりすると共に、将来の顧客となる小学生への働きかけも強化したい。

※参考

○DOR業況判断DIの推移(全業種、前年同期比)
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