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「景気回復」の実感なく、経営指針の確立と社員のレベルアップで難局を突破 調査データ・資料
「景気回復」の実感なく、経営指針の確立と社員のレベルアップで難局を突破〜道内中小企業の経営実態調査結果〜

 この調査は、当会会員企業(会員数4,789社)の中から1,500社を地域、業種を勘案の上、無作為抽出して2004年10月下旬にアンケートを発送、11月10日までに回答のあった303社についてまとめたものです。
 なお、回答企業の平均資本金(全道)は、3,400万円、平均従業員数(全道)が40.5人となっています。

1、「売上DI」は、「10〜12月期」に悪化の見通し

 第1表―aの売上DI(前年同期と比較した「増加」企業の割合から「減少」企業の割合を差し引いた数値)をみると、全道で「4〜6月期」マイナス20.3、「7〜9月期」18.6とやや好転するものの「10〜12月期予想」ではマイナス23.1と大幅に悪化しています。
 一方「過去3カ年の売上DI」(第1表―b)をみると、「全道」では昨年とほぼ同じ水準であり、底這え傾向を示しています。
 「業種別売上DI」(第2表)では、「建設関連業」「卸売業」「運輸・倉庫業」のマイナス幅が大きくなっています。とりわけ「運輸・倉庫業」の「10〜12月期予想」では、マイナス40.0と大幅に悪化し、注目されます。
 公共事業の減少、過当競争の激化による価格の下落などが急速に進行しているようです。

2、「利益確保」はさらに厳しく

 「地域別経常利益DI」(第3表)の「全道」では、各期とも「売上DI」より10ポイント以上マイナス幅が大きく、利益を確保することが極めて難しい局面にあることを伺わせます。
 「業種別経常利益DI」(第4表)をみると、「運輸・倉庫業」のマイナス幅が突出しており、期を追うごとに大きくなっています。これは、原油高により燃料の価格が高騰し、それを価格に転嫁できないからでしょう。

3、「景気回復」の実感なし

 「景況感」(第5表)では、「景気がよくなった実感はない」「むしろ悪くなっている」を合わせると「全道」で85.2%に達し、「やや回復してきた感じがする」は、13.5%に過ぎません。「むしろ悪くなっている」と答えた割合は、「札幌以外」が「札幌」より9.5ポイントも多く、札幌と他地域の格差も広がっているようです。

4、業種によってバラツキが目立つ経営上の悩み

 「経営上の悩み」(第6表)をみると「売上不振」は、ほぼ全業種に共通していますが、他の項目では若干のバラツキがあります。「販売価格・受注価格の下落」は、「建設関連業」「卸売業」「運輸・倉庫業」「サービス業」で多く、「原材料・仕入価格の上昇」は「製造業」「運輸・倉庫業」が多くなっています。また、「小売業」では「人材不足」が、「運輸・倉庫業」では「人件費の負担増」も目立っています。
 原油高、鉄などの基礎素材、農産物の高騰などを販売価格に転嫁できず中小企業経営を圧迫している様子が伺われます。

5、営業力、商品力を高め、売上と利益率のアップに挑戦〜経営の重点方針〜

 「経営の重点方針」(第7表、全道)では、「営業力・商品力を強化し、売上を伸ばす」(34.9%)「特徴ある商品や選別受注で利益率を高める」(34.4%)「経営指針の確立と社員のレベルアップ」(24.8%)の順になっています。昨年との比較では、「売上を伸ばす」が若干減り、「利益率を高める」が2.1ポイント増えており、厳しい価格競争の中で利益率重視の傾向を強めているようです。
 しかし、業種によって若干の差があります。「小売業」「製造業」では「売上より利益重視」の傾向が強く、「製造業」と「卸売業」では、「経営指針の確立と社員のレベルアップ」が他の業種よりかなり高くなっています。情勢を深くつかみ、経営指針を確立して社員のレベルアップで難局を突破したいものです。
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